「高市首相はXの投稿で、物価高対策の成果を強調しました。そこにはいくつもの違和感があるのですが、たとえば『物価高対応子育て応援手当』について、『高市内閣の実績だ』というのは、つじつまが合わないのではないかと思います」
こう話すのは、岩手県陸前高田市の前市長の戸羽太氏(61)だ。2011年3月11日の東日本大震災当時、市長就任1カ月だった戸羽氏は、最愛の妻を津波で亡くしたが、悲しみを胸に秘めて復興に尽力したことで知られている。
市民の現状や苦しみを理解して市政を担ってきた戸羽氏が、問題としているのは、高市早苗首相(65)が8月14日にXに投稿した《物価高対策①〜⑤》という長文の5つの投稿だ。
その②において、高市首相は次のように記している。
《昨年末に国会でお認めいただいた「物価高対策」は、お住まいの地域によっては、まだお手元に届いていないものもあります》
《具体的には、・「物価高対応子育て応援手当」(子ども一人当たり2万円)は、全ての市区町村で今年7月末までに支給開始済みであり、順次、多くの方々のお手元に届いているものと考えています》
このように、物価高で家計が厳しい子育て世帯への緊急支援としての「子ども一人当たり2万円の子育て応援手当」を高市首相は「多くの方々のお手元に届いている」と高市政権の手柄として強調するのだ。
これに対して戸羽氏は、「つじつまが合わない」と指摘する。
「この『子育て応援手当』は、公明党の肝いりの政策でした。政府は当初『給付は行わない』方向でしたが、当時、連立政権だった公明党が『物価高対策として子育て世帯への現金給付』を強く主張したため、25年補正予算に組み込まれたものです。
その自公連立が解消して今日に至るので、『子育て応援支援』を『高市内閣の成果』というのは、いかがなものかと思うのです」
戸羽氏は、「高市首相はそもそも、国民が何に苦しんでいるのかが、わかっていらっしゃらないのではないか?」と感じるという。今年7月に行われた高市首相と公明党・竹谷とし子代表との党首討論の中で、それが「はっきり見て取れた」と戸羽氏は言う。
「その党首討論で、公明・竹谷代表が『政府が持つ資金の効率化プロジェクトを作って、生み出される財源から子どもの貧困対策などの施策に予算を使うべきではないか』という趣旨で発言すると、高市首相はこう答えたんです。
『とにかく経済が強くなって成長しなければ、実質的にはそういうお困りの方々をお助けすることもできないわけです』と」
戸羽氏は「いまの時代、『子どもの貧困』は深刻な社会問題として認識されています」としたうえでこう続ける。
「日本に少なくない貧困の子どもたちがいる現実を、『経済が強くなって成長しなければ、助けられない』と一国の総理大臣が言ったんです。順番が逆でしょうと。経済成長を待つ前に、苦しんでいる子の手当てをしなければいけない。今日の食事に困っている子どもがいて、ボランティアで『子ども食堂』を運営して支えている方もいる。
そういう必死で生きている方々を、『経済が強くなって成長しなければ、助けられない』と言った首相の本心とは何でしょうか?」
自身も震災遺族で、市長として復興の指揮を12年執った戸羽氏は、「立場の弱い人たちにどう手を差し伸べるか」が「政治家の最低限かつ究極の目的」だと断言する。
「お金持ちの人は、政治がどうであれ、消費税がたとえ20%になろうと、生活に困りません。問題の本質は、一国の総理大臣が、弱者に寄り添うスタンスをまったく持っていないと感じられることです」
困っている人の現実にこそ、手を差し伸べてほしいものだ。
画像ページ >【写真あり】震災からの復興に尽力した戸羽前市長(他1枚)
