性別を問わない継承を可能にした法改正にあたり、記者の質問に答えるリヒテンシュタインのアロイス皇太子(写真:共同通信、2026年8月15日) 画像を見る

改正皇室典範の施行まで二カ月を切った。自民党や日本維新の会が掲げる“男系男子による皇位継承”を堅持するために、皇室が旧宮家の男系男子を養子縁組で皇族を迎えることが可能になった。しかもその養子に生まれた男の子には皇位継承資格が認められるという見解が法案審議中に示され、波紋も呼んだ。

 

しかし皇室とも縁が深い欧州各国の王室では、“男系男子のみ”が君主となることがもはや自明のことではなくなっているのだ。

 

「リヒテンシュタインでは今後、同国の元首にあたる侯爵位の継承順位について、これまでの男系限定をあらためて長子優先としていくこととなりました。8月15日の建国記念日に侯爵家が発表しています。現在の侯爵はハンス・アダム2世ですが、2004年にはアロイス皇太子に実権が移譲され、多くの公務を務めています。

 

性別を問わずに侯爵位を継承していく制度は、皇太子夫妻の4人のお子さまから生まれる子孫から適用されることになります。なによりリヒテンシュタインの制度変更によって、欧州の王国・公国で女性が君主となれない国がなくなることになるのです」(皇室ジャーナリスト)

 

スウェーデン、オランダ、ノルウェー、ベルギー、デンマーク、ルクセンブルク、モナコ、スペイン、英国……。いずれの国も“直系長子優先”、そして女性も君主に即位できる制度となっている。リヒテンシュタインが加わったことで、欧州はいよいよ「女王の時代」を迎えることになるのだ。

 

「ベルギー、オランダ、スペイン、スウェーデン、ノルウェーは、いずれも次の国王は女性です。ベルギーのエリザベート王女やオランダのカタリナ=アマリア王女、ノルウェーのイングリッド・アレクサンドラ王女、スペインのレオノール王女は愛子さまとも同世代のプリンセスが、将来女王となることが運命づけられているのです。

 

依然として欧州では、“日本ではなぜ女性が天皇に即位できないのか”と疑問視する向きがあり、リヒテンシュタインまでもが女性が侯爵になれるようになったことで、いっそうわが国の特異性が際立ってしまうといえます」(前出・皇室ジャーナリスト)

 

欧州の王室制度や事情に詳しい駒沢大学法学部教授の君塚直隆さんはこう解説する。

 

「リヒテンシュタインで国政の女性参政権が認められたのは、1984年と比較的最近で、中世のような感覚が残るイメージが抱かれることが多い国でした。今回アロイス皇太子が女性の侯爵位継承を認める制度変更を発表した際には、国民からスタンディングオベーションで歓迎されたとも報じられました。

 

ただスペイン王室やモナコの侯爵家では完全な男女同権ではなく、今も男子を優先する継承制度ではあるものの、これで女性が君主の継承権を持てない国はなくなりました。

 

この背景には、欧州各国が“女王の時代”を迎えるというだけではなく、政治や経済といったさまざまな分野、あらゆる組織で女性がリーダーとなることが当たり前となっていることが大きいと言えるでしょう」

 

一方、まさに世界の潮流と比べて“ガラパゴス化”しかねない日本の皇位継承のあり方について、君塚さんは次のように警鐘を鳴らす。

 

「日本では、皇室典範の改正は国会の議決によって行われます。その際、当事者である天皇陛下をはじめ皇室の方々の意見がほとんど求められず、かつ反映もされないという状況は、やはりおかしいのではないでしょうか。

 

これまで皇室典範はアンタッチャブルなものとして、皇位継承順位などは130年以上も手を付けられることはありませんでした。たしかに今回の改正は、国民の理解が多く得られるものではなかったとしても、“改正は可能”という前例となったと言えます。

 

日本国憲法が定めるように、“天皇は国民統合の象徴”であるならば、国民投票という手段もあるべきでしょう。本来ならば、皇室の方々、そして国民の声を反映することが、皇室典範の改正にとってあるべき形なのだと思います」

 

皇室典範第一条は、《皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する》と定めている。女性が天皇に即位されるあり方の実現には、まず国民が声を上げ続けるしかない。

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出典元:

WEB女性自身

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