「高松市内から10ほど徳島方面に向かったところに、祖父母と両親2代が眠るお墓があります。
今年、還暦を迎えた私の人生の課題が、お墓じまいです。でもまだ結論は出ていないんです」
そう明かしてくれたのは、父の建てた実家じまいを、2017年に終わらせた松本明子さん(60)だ。
「東京から遠く、お墓参りも大変ですし、私や兄の子供たちの負担になるのも申し訳ないので、2021年ごろから、東京に移設しようかと考えはじめました」
そのお墓は、昭和46年(1971)に他界した祖父のために、松本さんの父が建立したものだった。
「その後、母が他界したときに、骨壺が“渋滞”して入らなくて(苦笑)。兄とお金を出し合い、墓石を大きくして、人数分の骨壺が入るようにしました」
また「法事や墓参もずっと頑張っていた」と、松本さん。
「両親の三回忌、七回忌、5年前に十七回忌まで法事もしました。親戚も20人ほど集まり昼は法事、夜は宴会で温泉に泊まるなど、両親のためにやっていたんです。親戚も高齢になり、1人減り2人減り、コロナ禍もあり、最近は法事はしてないです」
仕事で香川に戻るたびに、早朝にお墓参りにも行っていた。
「兄も東京なので、墓参がご無沙汰で。兄と会うと『近くにあったらすぐ、お参りに行けるのに』といつも話していて」
そこで親戚に、墓じまいの話をすると、「勝手に移さないでほしい」と、反対の声があがった。
「両親の兄弟姉妹が、日ごろから掃除してお参りしてくれて。墓守りをお願いしていたものですから。『お墓はそのままにしてあげて』と……。やはり、お墓って、自分たちだけのものじゃないですよね」
松本家の墓からは、高松市内が見渡せて、夕日も美しいという。
「父もその景色が好きでしたので、そう思うと、動かさないほうが親孝行なのかとも葛藤しています。
お墓が香川にあることで、墓参をしてふるさととつながっていられます。でも、私と兄の代でどうにか結論を出さなきゃいけないと、顔を合わすたびに話しています」
東京で供養先を探してもいる。
「マンション型の納骨堂、海洋散骨、永代供養で終わりなどいろいろありますが、私は、やはりお墓は家族のシンボルですので、形ある墓石でというこだわりがあります。そのままにするか、新しい場所にお墓を構えるか、悩みの種です」
兄嫁の地元に、墓地があり、みんなで移り、合葬という案も出た。
「お墓は、やはりご先祖様の大事な“おうち”ですし、つながりを感じ感謝する、家族にとってはかけがえのない場所。墓じまいよりは、私は、どこか新たなところで供養することを、考えています。
体が元気なうちにやらないといけないなと思います。今、60歳、この5年以内には、結論を出して動きたいと思っています」
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