9月18日、共同通信が配信した記事が猛反発を呼んでいる。
「7月に成立した改正皇室典範によって、旧宮家の男系男子の養子縁組が可能となりましたが、報道によれば、宮内庁は養子として皇族となったことを内外に示す『新たな儀式』の実施を検討しているということです。誕生時に皇族でなかった人を養子として皇族に迎える初めてのケースとなるため、民間から皇族妃を迎える際の『結婚の儀』などを参考に儀式の在り方が話し合われているとのことです」(皇室担当記者)
ネット上では、こんな批判の声が渦巻いている。
《皇室の最も近くにいながら盾にならず、権力と一体化して「愛子さま排除」に加担するとは! 象徴天皇制は、官僚が儀式を作って国民に既成事実を押しつける制度ではない! 天皇・皇室と、国民との信頼関係をぶった斬るな!》
《理性を持つ日本国民の皆さん、これ以上、天皇陛下にご自身の意思でもない国事行為、立皇嗣の礼や皇族養子の儀式を強行し、それを理由に正当化する為政者の無法を止めませんか?》
なぜこれほど怒りの声が広がっているのか。神道学者で、皇室研究者の高森明勅さんに話を聞いた。
「今回の共同通信などの報道に対し、ネット上だけでなく宮内庁へ抗議が寄せられるなど反発が広がっています。宮内庁としては、法制度ができた以上、実務を担当する立場として必要な手当てをおこなうつもりなのでしょう。しかし、予想以上の反発に戸惑っているのではないでしょうか」(以下「」内は高森さん)
そもそも、これほどの反発を招いている背景には、養子制度そのものに対する不信感があるという。
「この儀式によって、養子制度そのものが正当化され、固定化されるのではないかという懸念です。国民の多くが望んでいる女性天皇・愛子天皇の実現を阻害する制度だという受け止めがあり、それに宮内庁が手を貸している構図に見えているのです」
SNS上では、「前例なき儀式」として、秋篠宮さまが皇嗣となられた際の「立皇嗣の礼」と重ねる声もある。大々的な儀式にしたことで「次の天皇はもう決まった」という印象を醸成したのではないか、という指摘がなされているのだ。
「たしかに、秋篠宮さまが皇嗣となられた際の『立皇嗣の礼』も、暫定的な立場を内外に示すだけで、ほとんど意味がないにもかかわらず新儀式としておこなわれ、秋篠宮さまへの皇位継承が確定したかのような印象となったのは間違いありません。今回の“新儀式”に対する不信感も理解できるものですね」
一方で、高森さんは宮内庁の検討自体については、仕方のない部分もあるという。
「制度として成立した以上、民間の人が皇族となるにあたっては、天皇陛下へのご挨拶である『朝見の儀』や宮中三殿への拝礼など、最低限のマナーや儀式は欠かせません。その点で、何らかの儀式は必要になるでしょう。ただし、それが『内外に示す』といった大げさなものになり、一般の婚姻による皇族参入以上の扱いとなれば、均衡を欠くことになります。
上皇陛下が『国民に寄り添う』というお気持ちから、生前退位や葬儀の簡素化など、近代以降の皇室の特別なあり方をそれ以前の伝統を顧みながら進められたように、これまでの流れとのバランスも重要です。宮内庁は、首相官邸などの政治的な思惑に押し切られることなく、儀式のあり方や規模の均衡を慎重に見極める必要があります」
9月2日には、宮内庁が将来の葬儀規模を大幅縮小することを検討しているとの報道もあった。
「一般の告別式にあたる『葬場殿の儀』などを、昭和天皇の時のような新宿御苑ではなく、皇居の宮殿などに変更するほか、参列者数も従来の約1万人から2500人程度に大幅縮小することなどが検討されているようです。上皇陛下は在位中から『国民生活に影響を及ぼしてはならない』という強いご意向をお持ちでしたが、こうした『簡素化』のご志向は天皇陛下、秋篠宮さまなどのご意思でもあります。
そうした背景があるからこそ、宮内庁が“新たな儀式”をつくろうとすることに、違和感を覚える人が出てくるのでしょう。天皇陛下や秋篠宮さまのご意思ははっきりしているのに、高市早苗首相はわかっているように見えない――。それが反発を招いている原因です」
国民の納得と皇室の安寧を置き去りにしたまま突き進む高市政権。混乱の着地点を見出す道筋は未だ見えてこない。
画像ページ >【写真あり】天皇陛下のお言葉もなかった式典でノリノリの様子だった高市首相(他6枚)
