沖縄県・辺野古沖で船2隻が転覆し、研修旅行中だった同志社国際高校の女子生徒と船長の2名が亡くなった事故から半年以上が経過。事故を受け、京都府は学校に対する私学運営費補助金を減額することを決めた。
事故が発生したのは今年3月16日。乗船者全員が投げ出され、生徒の武石知華さん(当時17歳)と船長の金井創さん(当時71歳)が死亡。武石さん以外の生徒17人のうち16人が負傷した。
「船を運行していたのは、辺野古新基地建設などに反対する市民団体『ヘリ基地反対協議会』。船は海上運送法に基づく事業登録をしておらず、事故当初、波浪注意報が出ている中で出航していたことなど、安全管理面の不備が指摘されていました。いっぽう、同志社国際高校が設置していた外部専門家による特別調査委員会は7月31日、調査報告書を公表し、辺野古ボートコースの事前調査や、保護者への事前説明がなかったことなどを理由に、学校側にも『明らかに安全配慮義務違反があった』と認定しています」(社会部記者)
10月9日、京都の西脇隆俊知事(71)は定例記者会見で、同志社国際高校の安全管理が著しく適正を欠いていたとして、補助金を減額すると発表。すでに交付している令和7年度分を50パーセント減額し、返還を求め、今年度分は25パーセント減額するという。
この決定について、知華さんの遺族が運営するnote「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」で、知華さんの遺族は、《個人的に、処分を喜ぶ気持ちはありません。何がどれだけ減額されても、知華は帰ってきません。しかし、安全管理が「著しく適正を欠いていた」という事実の重さを、行政が目に見える形にしたこと。これは事故の重さに見合った対応であり、必要なことと考えています》とコメント。
今年度分の補助金減額が50パーセントから25パーセントに引き下げられたのは、学校が提出した再発防止策において一定の改善策が盛り込まれたことが理由だが、知華さんの遺族は、《罰して終わりではなく、改善すれば評価する、という形です。この仕組みは健全なものだと思います》と評価しつつ、《同時に、学校には、評価された以上、計画を着実に実行する責任が生まれたことを明記しておきます》とも述べた。
いっぽう、知華さんの遺族が指摘するのが、学校の教育基本法違反をめぐる行政の対応だ。これまで、文科省や京都府は事故が起きた平和学習は政治的中立性を定めた教育基本法に違反していると指摘してきたが、9日に発表された補助金減額は、学校の安全管理のみを理由としている。
知華さんの遺族は、《誤解のないように書きますが、私は、教育の問題でも補助金を減らすべきだ、と言いたいわけではありません。行政の対応には、私学助成金の減額以外にもいろいろな形があり得るはずです》と述べつつ、《ただ、事実として、教育基本法に反するとされたことに対して、行政が課したペナルティーは、まだありません》とコメント。このままでは、どこかの学校が、どのような方向であれ意図的に偏った教育をしたとしても、ペナルティーが課されないと理解されてしまうおそれがあると指摘した。
そして、京都府の発表から2日後の11日は、知華さんの18回目の誕生日だった。翌日に更新されたnoteで、知華さんの母は、《ママの大事な大事な知華へ お誕生日おめでとう!毎年10月11日は、一緒にお祝いして笑って過ごせると思っていたのに 今年のお誕生日から 知華は遠い別の世界…》と切り出した。
続けて、《去年のお誕生日は、何もかもがとても忙しい日々の中で知華のお誕生日の準備を十分にしてあげられなかったのに、それが知華にとって最後の誕生日になるなんて考えたこともなくて、ママは今でも後悔ばかりしています》《今年も一緒にお祝いできると思っていたから、知華のいないお誕生日が寂しくて、ママは先週から泣いてばかりだったのよ》などとも綴ると、以下のようにあふれ出る悲痛な思いを書き記した。
《寂しくて泣いていないかな?困っていることはない?ママにできること、ない?会いたい…ともちゃんに会いたくて会いたくてどうしたら良いかわからなくてお墓に通うママを助けてください
毎日お墓に通ったら 毎日一生懸命拝んだら ママの想いがお釈迦さまに届いて ママのお願いを叶えてくれて…もう一度家族になれるかな?》
生前の知華さんが慕っていた教員や、学校の友人、報道関係者からもお祝いのメッセージやプレゼントが届けられたという。知華さんがあらゆる人たちから愛されていることが伝わるが、知華さんの母親は、《みんなママと同じく寂しくて、知華に会いたい想いを胸に頑張って生きているよ。知華のいない未来を生きるなんて考えたこともなかった》と吐露し、こんな願いを綴った。
《知華の未来が失われ、ママやパパ、ねえね、じいじ、ばあば、先生、お友達、みんなの未来から、知華の笑顔を奪った辺野古事件前に戻れたなら…》
辺野古事故という予期しない出来事で、18歳の誕生日を共に迎えることができなかった知華さんの遺族。知華さんの母親が漏らした悲痛な思いはXでも広く拡散され、多くのユーザーからお祝いや気遣いの言葉が寄せられていた。
《涙が出てきます… お母さまのお気持ちが詰まってますね。 知華さん、お誕生日おめでとうございます》
《明るく向上心のある子が命を落とさなければならなかったのか。胸が張り裂けそうな思いで涙が止まりません》
《素直に真面目に生きてきた子、そしてその家族だとしたら、悔やんでも悔やみきれません》
画像ページ >【写真あり】「反省してる?」波紋を呼んだ抗議団体の”腕組み”謝罪会見(他1枚)
