「もう本当に悔しい思いというか、気持ちが。今はそれだけ。第一にブルワーズが強かった。素直に本当に素晴らしいチームだなというのと、自分の力不足、そこをまた実感するシリーズだった」
10月16日(日本時間、以下同)、ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦に「1番・DH」で先発出場したドジャースの大谷翔平選手(32)。2回にはポストシーズン第1号となる豪快な3ランホームランを放ったが、チームは逆転負けを喫し、まさかの4連敗で今シーズンを終えることになり、試合後の会見で悔しさを口にした。
ワールドシリーズ3連覇を目指して臨んだ今シーズン。大谷は開幕直後から投打の二刀流でフル回転を続けていた。圧巻のパフォーマンスを見せ、6月には長男が誕生するなど、公私にわたって充実した日々を過ごしていたが、左ひざと右上腕の違和感が判明して以降は苦難の連続となった。
『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2026』(廣済堂出版)の編著者でスポーツライターの友成那智さんは次のように語る。
「投打で大活躍するということは、それだけ体に負担がかかっていることになります。開幕前にWBCに出場していた影響も重なり、体が悲鳴をあげることになってしまったのでしょう」
7月4日を最後にマウンドから遠ざかり、両リーグ最多得票で出場予定だったオールスターも辞退。後半戦は打率も下降の一途をたどっていった。
「右腕と左ひざのコンディション不良から、打席に立っても体の回転を十分に使えておらず、持ち前の力強いスイングができなくなっていました」(友成さん)
9月12日には、エンゼルスに在籍していた’23年以来となる負傷者リストに入ることに。それでも、9月24日に戦列復帰すると、急ピッチでポストシーズンに向けて調整を進めてきた。
「大谷選手は、周囲から体の状態を心配する声があがっても『大丈夫、試合に出たい』と主張し続けたそうです」(在米ジャーナリスト)
その結果、第4戦ではホームランを放ちドジャースファンを歓喜させる見せ場を作ってみせた。
そうした奮闘及ばず潰えた3連覇の夢。試合後の会見では、早くも来シーズンへの取り組みについて話が及んだ。“来年も二刀流にチャレンジするか?”と問われ、大谷は、
「今の段階では特に何も。治療も含めてどうなっていくのかっていうことはまだちょっとわからないので、もちろん続けていく気持ちで頑張りたいなと思っています」
と、意欲を見せた。“完全復活”を期すにあたってのキーパーソンがいると前出の在米ジャーナリストが話す。
「今シーズン調子が下がり始めて以降、大谷選手はドジャースの矢田修トレーナーにアドバイスを求める機会が増えたといいます。矢田トレーナーは特に大谷選手の左ひざの違和感を問題視していて、40歳まで現役を続けるためにも、けっして無理をしてはいけないと繰り返し話したそうです」
矢田トレーナーは、大谷の同僚である山本由伸投手(28)のオリックス・バファローズ時代からの専属トレーナー。ジャベリン(槍)投げを取り入れるなど独自の調整がドジャース首脳陣にも評価されており、今シーズンはムーキー・ベッツ選手(34)をはじめ、ドジャースのほかの選手にも広くアドバイスを行っている。
「身長178cmと、メジャーリーガーに体格で劣る山本投手が常勝軍団のエースとして活躍できるのは、矢田トレーナーとの二人三脚で作り上げた体のバランス、効率的な体の使い方、力の伝え方によるところが大きい。来年33歳とベテランの域に入っている大谷選手にとっては、今シーズンと同じ轍を踏まないためにも、矢田トレーナーに学べることは多いのではないでしょうか」(友成さん)
来シーズン、大谷の二刀流は「夏ごろからが適切ではないか」と、友成さんは話す。
「開幕からはDHで打者に専念するのが現実的です。つい全力疾走をしてしまいがちな大谷選手ですが、走塁の負担も軽減しながらバッティングに集中すれば、シーズン40本塁打は十分に打てるでしょう。並行して投手としての調整を続けて、シーズン後半からローテーションに入っていく。大谷選手のコンディション維持の面でも、ドジャースがポストシーズンを勝ち抜くためにも、現状ではそれがベストだとみています」
今シーズンの経験を「また来年からの糧にしたい」と語った大谷。 王座奪還のために、悔し涙をぬぐって再び始動する――
画像ページ >【写真あり】ブルペンで山本の投球をチェックする“大谷復活のキーパーソン”(写真:共同通信)(他15枚)
