自民党総裁選まで1年。早くも「高市支持」の声が自民党内から相次いでいる。
「次の総裁選に引き続き挑戦したいとの意向が(高市首相に)あれば、支えたい」
10月20日、自民党の萩生田光一幹事長代行は記者会見でこう述べ、来年秋の総裁選に高市首相が出馬すれば支持する考えを示した。萩生田氏は18日のBS11の番組でも「(旧安倍派は)たぶん行動をともにできる」と語り、総裁選で旧安倍派として首相支持に回ることを明らかにしている。
「小林鷹之政調会長も、21日のラジオ番組で『1、2年後も高市政権を支えるか?』と聞かれ、『当然支えていく』と明言しています。
そして、麻生太郎副総裁も22日、自身が率いる麻生派の会合で、『この1年、日本は間違いなく明るくなった』と、発足1年を迎えた高市政権を高く評価しました。この発言も高市首相の再選を支持したものと受け止められています」(政治記者)
世論も「次の首相」として多数が高市首相を支持している。毎日新聞が10月24・25日に実施した世論調査によると、『次の首相にふさわしい人』という質問に、高市早苗首相と答えた人が27%とトップだった。
小泉進次郎防衛相(12%)、林芳正前総務相(10%)、茂木敏充外務相(3%)、小林政調会長(2%)を大きく上回っている。さらに、自民党支持層では、55%が高市首相を選び、2位の小泉防衛相(15%)を大きく引き離している。
まるで「高市再選」が既定路線となっているかのようだ。その背景を、元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏がこう読み解く。
「高市さんが狙うのは無投票再選です。高市さんは麻生支配からの脱却を目指していますが、無投票となれば、麻生さんに頭を下げずに満場一致で再選を果たせるわけですからね。その後の人事でも完全にフリーハンドとなり、麻生副総裁、鈴木俊一幹事長を切ることもできるわけです。
誰かほかの候補者が出て、いい勝負になった場合は、党内基盤の弱い高市さんは麻生さんに頭を下げて支援を頼まなくてはならない。そうなると麻生さんの影響力は残って、麻生支配からの自立はできません。高市さんとしては、なんとしても無投票再選に持っていきたいわけです」(以下、「」内は鮫島氏)
今回、萩生田氏や小林氏、そして麻生氏がいち早く高市首相の再選支持を打ち出した背景には、麻生氏の思惑があるという。
「22日には、高市首相を支援する国力研究会の幹部会を開いて、麻生さんや萩生田さんたちが集まって会食をしています。11月に2回目の総会が開かれることも決まりました。
これは、麻生さんが『オレが最初に高市再選の流れを作った』と見せつけたいわけですよ。今回、萩生田さんが真っ先に高市再選を支持し、続いて小林さんが表明したのも、高市再選後も影響力のあるポジションを保持しようとしている麻生さんの意向を汲んでいるわけです」
とはいえ、無投票とは、ほかの候補者が誰も総裁選に立たないということだ。それはありうるのか。
「世論調査で人気2位の小泉さんは出ないでしょうね。防衛大臣として閣内に取り込まれているし、先日の参院予算委員会でも片膝立てて総理に耳打ちするシーンが話題になったように、最近の小泉さんは高市さんへのすり寄りが目立ちます。
小泉さんは総裁選で2連敗しているから、次の総裁選に出て負けたらもう “負け癖” がついてしまう。過去2回は現職が辞めた後の総裁選だから出やすかったのですが、現職に挑むことはたぶんしないと思います」
ほかの有力候補も、出馬する気配はなさそうだ。
「今回、高市さんを支えると明言した小林さんも、来年の総裁選には出馬しないでしょう。まだまだ経験不足だし、政調会長として党執行部に残ったから出づらい。出ても高市さんには勝てないでしょう。茂木さんは出るかもしれませんが、あまりに人気がないし、外務大臣として閣内にいれば、やはり出づらいでしょう」
そんななか、否が応でも注目を浴びるのが、内閣改造で閣外に去った林芳正前総務相だ。だが、林氏が土壇場で不出馬となる可能性は大いにあると鮫島氏は言う。
「私は土壇場で林さんが退く可能性があると思います。そもそも腹が座っていない。本音は出たくないんじゃないか。
今回の内閣改造でも、できれば閣内に残りたかったはずです。大臣に残れれば総裁選に出ない口実を得られたからです。それが追い出されてしまって、出ざるをえないところに追い込まれてしまった。
それでも、最後に出馬を見送れば、見送ったことが高市さんに評価されて総裁選後に政権中枢に戻れるかもしれない。林さんは、それに賭ける気持ちのほうが強いと私は思います。
そもそも出たって勝てないでしょうし、出て負けたら干されるだけですから、エリートの林さんには耐えられないでしょう。いまの林さんの気持ちはせいぜい半々、土壇場で身を引くことで自分をいかに高く売るか考えている可能性も十分あると思います」
無投票再選が実現したら、それは高市首相が望む麻生支配からの自立となる。
「いずれにしても、麻生さんももう86歳。麻生支配もさすがに何年も続かないだろうという声が自民党のなかからも聞こえてきます。高市さんが無投票再選で麻生外しに成功すれば、それをきっかけに、いよいよ“高市独裁”が進むことになります」
麻生支配も嫌だが、高市独裁も御免こうむりたいものだが――。
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