国民民主党と日本維新の会、そして自民党の間でかわされた衆院議員定数「31削減」をめぐる合意が、早くもきしみ始めている──。
火種となったのは、法案審議の順番だ。国民民主党の古川元久国会対策委員長は、11月4日の記者会見で「定数削減法案よりも、企業・団体献金の見直しをめぐる法案を先に審議すべきだ」との考えを示した。これに日本維新の会が猛反発し、両党の間に不協和音が生じているのだ。
「維新の藤田文武共同代表は、『3党合意を先に進めたらいいのではないか』と、古川氏の発言に強い不快感を示しました。別の維新幹部も『定数削減法案の作成の協議を後ろ倒しにしようと思っているのでは』と、不信感を露わにしています。今回の定数削減合意については、国民民主の支持者の間でも賛否が分かれており、維新が神経をとがらせるのも無理はありません」(政治担当記者)
今国会の会期末は12月12日。残された時間が多くないなか、にわかに審議の順番が、政局の焦点に浮上したのである。もっとも、古川氏の主張にも一応の理屈はある。
「国民民主は先の国会で、中道改革連合とともに献金規制法案を提出していましたから、先に提出していた法案から審議するのが慣例だと主張しているわけです。
与党は消費税減税関連法案の審議を優先する方針としておりますが、参院で過半数を持たないため、国民民主の協力は不可欠です。つまり、国民民主の意見もある程度は汲まないといけないわけです。このような状況が続けば、定数削減法案の審議が会期末まで進まず、事実上の時間切れとなる可能性もあるのです」(同前)
審議の順番をめぐる主張は、単なる国会運営上の手続き論ではなく、定数削減の合意そのものを左右しかねないカードなのだ。そもそも企業・団体献金の規制は、かつて維新が掲げてきた看板政策の“一丁目一番地”だった。それを与党入りに向けた交渉のなかで、定数削減へと事実上、看板をかけ替えた経緯がある。だからこそ、維新としても、献金規制そのものに真っ向から反対するわけにはいかないジレンマがある。一方、自民党は献金規制強化には消極的だ。維新と国民民主が審議の順番をめぐって対立すれば、定数削減法案そのものが先送りされる可能性も出てくる。
「また、いつもの“国民民主仕草”が始まったというだけ。予想はしていましたよ」
と、苦笑まじりに語るのは、自民党の現執行部とは距離を置く中堅議員である。
「国民民主も、このまま31削減だけが成立して、3党合意に盛り込まれた『統一名簿』が実現しなければ、小政党を切っただけ、という批判は免れないでしょう。過去には国旗損壊罪など、意味の分からない譲歩をしてまで成立させた法案もありましたからね。結局、最後は代表の玉木雄一郎さんがどう判断するかという局面です。党内では『榛葉(賀津也幹事長)が合意して、古川が理屈をこねる。そして玉木がちゃぶ台を返す』という、いつもの見慣れた光景だと受け止めている議員が多数ですよ」
これらの状況に関して、政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう推察する。
「ひとつでも手柄を立てれば、あとは全部、飲み込むのが国民民主の手口です。今回も、政党を維持したまま、同じひとつの比例名簿に候補者を乗せることができる『統一名簿方式』を合意案に入れていますから、おそらく、これを手柄に審議日程は譲歩するんじゃないかと思いますね」
定数削減を掲げて、維新との協調を演出した国民民主。国会の審議日程をめぐる攻防は、すでに各党の本音と打算を映し出す政局そのものとなっている。
