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めっきり秋らしくなってきて、ジャケットが必要な寒さになってまいりました。片岡愛之助でございます。

この連休が家族の運動会だったという方もいらっしゃると思います。

舞台で汗を流すのも大好きですが、スポーツで汗を流すのもいいですよね。もともと体を動かすのは大好きなので、運動会の朝に花火の合図を聞くと、ワクワクしたことを思い出します。

僕は小学生のときから歌舞伎の舞台に出ていました。ですので時間がなかっただろうとか、運動部とは縁遠いだろうと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。確かに運動部には所属はしておりませんでしたが、小学校高学年から中学生までは父から柔術を学んでおりました。

ちょっとのことではケガもしない、この運動神経と骨の丈夫さは、柔術で培われたと言っても過言ではございません。

実の父親が柔術を始めたきっかけは、心臓発作で倒れたあとのリハビリのためだったのですが、持ち前の運動神経のよさと頑張り精神を発揮して、めきめき力をつけ、気がつけば指導に回るほど上達していた。

その父の指導にあたっていたのが、偶然にも今の叔父の片岡我當だったのですから、これはもうご縁としか言いようがありません。

僕はと言えば、父の練習の付き添いで、毎週日曜に河原に同行しては、父の稽古風景をせっせとビデオに録画していました。父はそのビデオをあとで自分で見て、型などを確認して上達の一助としていました。

これ、実は僕の現在の稽古でも取り入れています。稽古風景を弟子の愛一郎に撮影させて、あとで動きや型などを確認するんです。

稽古場だけじゃ自分の姿はわからないですから、ヒントをくれた父には感謝していますね。

で、その実父ですが、当時はまだグレイシー柔術なども出てきておらず、柔術人口が少ない時代でしたから、乞われてベルギーにまで教えに行き、新聞に取り上げられて地元の有名人になっていましたね。僕も、父が出国するときにはわざわざ大阪から成田まで見送りに行ったことを覚えています。

僕も実父の血を継いでいますからね。中学生になると、父から「寛之の“気”はすごい。俺を超えた」と父に言ってもらえるまでに上達しました。

みなさんも、機会があったら、柔術、試してみてくださいね。“気”が出るようになりますよ(笑)。

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テレビドラマのワンシーンの収録が終わって、これから夕食です!
(C)加治屋誠

 

さて、今週のBS日テレ「片岡愛之助の解明! 歴史捜査」(木曜日21時~)、10月15日の放送は、「陰陽師・安倍晴明 超人伝説の真相を追え!」をお送りします。

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陰陽師・安倍晴明みたいに“式神”が使えたら便利だろうなぁ。
『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』(C)BS日テレ

 

安倍晴明は、歌舞伎の世界ではおなじみです。

歌舞伎の名作『葛の葉』(『芦屋道満大内鑑』の一幕) では、晴明の母である狐が狐の本性を見顕(あら)わし、最後には口に筆をくわえて障子に毛筆をふるう女方さんの名作がございます。

安倍晴明自身を主人公とした新作歌舞伎『陰陽師』も、2年前の9月に東京・歌舞伎座で上演され、僕も出演させていただきました。

ですので、僕も晴明に関してはちょっとくわしいですよ(笑)。

今回、番組をつとめさせていただいて、もっと詳しくなりました。

安倍晴明の人間ばなれしたパワーの秘密とは――。ご期待ください。

みなさんも、秋の夜長を楽しんで。

片岡愛之助

プロフィール

1972年3月4日生まれ。’81年12月、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名乗り初舞台。’92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。’07年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承し、三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名した。

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