休暇を満喫し、仕事を再開いたしました。片岡愛之助でございます。
目下、来週11月4日に初日を迎えます、毎年恒例の兵庫県豊岡市で行われる「永楽館歌舞伎」の稽古の真っ最中です。
いよいよ始まる永楽館歌舞伎。
『愛之助が案内 永楽館ものがたり』も好評発売中。(C)集英社
今年で「永楽館歌舞伎」も8回目を迎えさせていただきます。毎年11月3日にお練り、4日が初日というのが恒例になっています。
今年の演目は、『青雲の座 出石の桂小五郎』と『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』の2作品をお送りいたします。『蜘蛛絲梓弦』では、早替りで五役を勤めさせていただきます。
『青雲の座 出石の桂小五郎』は新作歌舞伎になります。昨年も永楽館の地元、豊岡市のシンボル、コウノトリにちなんだ新作歌舞伎『神の鳥』をご覧いただきましたが、今年、新たに取り上げさせていただくのは、「維新の三傑」の一人として、明治維新に大きく貢献し、歴史にその名を残した長州藩の桂小五郎です。彼は後に名前を木戸孝允と改めます。
その桂小五郎が、討幕運動のさなか、追手を逃れて、一時但馬出石に潜伏していたという史実を題材に、新作歌舞伎として書き下ろしました。
上村吉弥さん 、中村壱太郎さんら、お馴染みの永楽館メンバーに加え、襲名なさったばかりの中村鴈治郎さん、壱太郎さんのお父さまですね、も出演してくださいます。壱ちゃんは1回目のときにはまだ高校生でした。立派になってと成長を見守ってくださっている地元ファンも多いんですよ。
メンバー全員での『口上』も永楽館歌舞伎の見せどころのひとつとなっています。通常、『口上』は、とても緊張するものなのですが、永楽館歌舞伎の『口上』はそうではございません。みなさん、とっても自由に伸び伸びなさっています。
アットホームな『口上』が行われるようになったのは3回目以降。中村錦之助さんは懐にマイクを忍ばせ、突然歌い出す(笑)。市川男女蔵さんは「アナと雪の女王」の替え歌を披露しましたからね。アンケートでは演目よりも『口上』のほうがダントツ人気となっています(笑)。
初日の『口上』にはもうひとつ恒例となっている“行事”がございます。それはお客さまと一緒に豊岡市の中貝宗治市長の誕生日をお祝いするということ。中貝市長は、毎年必ず初日を見に来てくださいます。その初日の11月4日が、市長の誕生日なんです。
初日の『口上』では、毎年お客さまと一緒に「ハッピーバースデー」を歌い、市長の誕生日をお祝いします。
そんな楽しい『口上』が見られるのは、この永楽館歌舞伎でしかありません。近畿地方に現存する唯一の明治期からの芝居小屋永楽館で行われる永楽館歌舞伎。みなさんも一度は見に来てくださいね。
そして今週、10月29日放送のBS日テレ「片岡愛之助の解明! 歴史捜査」(木曜日21時~)は、その『建築家! 秀吉 天下人の城の謎を追え!』のアンコール放送をお送りします。
その「歴史捜査」から僕の日めくり『片岡愛之助が贈る 歴史上の英雄!今日の名言~毎日を前向きに生きるメッセージ~』が発売になります。
http://www.ntvshop.jp/410/p/g/gbz730/
日めくり、ぜひ見てみてください!
『片岡愛之助が贈る 歴史上の英雄!今日の名言~毎日を前向きに生きるメッセージ~ 』(C)BS日テレ
歴史上の英雄の名言が日ごとに綴られている日めくりには、毎日を前向きに生きるメヒントや元気の素がたくさん詰まっています。
《生を必するものは死し 死を必するものは生く 上杉謙信》
これら英雄の言葉の下には、「歴史捜査ポイント」として解説が書かれています。
《「生きていたいと思って戦場へ行く者は死に、死の覚悟を胸に戦う者は生きて帰るものだ」という意味。越後の龍の異名をとり、武田信玄と川中島で激しい戦いを繰り広げた上杉謙信。戦国最強とうたわれた宿命のライバル・信玄も認める謙信の強さは、この名言に集約されるのかもしれない》
こんな具合に、毎日、ひとつずつ、英雄の言葉を噛みしめていくことは、日々の糧になると自負しております。
言葉に添えられている僕の写真も、全編撮りおろしとなっておりますのでご期待ください。
寒くなってまいりました。みなさまもご自愛ください。
片岡愛之助
プロフィール
1972年3月4日生まれ。’81年12月、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名乗り初舞台。’92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。’07年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承し、三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名した。