オフィスや、お仕事終わりにホッと一息つきたい、お道具を揃えてきっちり始めるには、まだ・・・・・・という女性も多いのではないでしょうか。OL茶道は、その名のとおりカジュアルに楽しめる茶道を目指して、遠州流茶道 小堀優子(26)と、茶道にチャレンジしたいアイドル・森咲樹(アップアップガールズ(仮))が、教え、学びながら新しい茶道を提案。
小堀優子「お菓子の次は、いよいよお抹茶です。咲樹さんは、お抹茶を召し上がったことはありますか?」
森咲樹「はい!実は、保育園で茶道と華道を習っていました。でも、もう忘れちゃってます」
小堀優子「では、その時とは作法が違うかもしれませんが、遠州流におけるお抹茶のいただき方をお教えしますね」
森咲樹「よろしくお願いします!」
小堀優子「まず、お茶碗には正面があります。今回お持ちしたものには、竹の絵が描いてあって、前が少しへこんでいます。この部分がこのお茶碗で最も美しいとされている正面になります。お客様は直接、正面に口をつけないように、時計回りに90度ずらしてからお茶をいただきます」
森咲樹「それでお茶碗を回すんですね!知りませんでした」
小堀優子「はい。でも、その前に、まずはお茶碗を手にとっていただいて、先ほどのお菓子と同様、「いただきます」という意味で小さくお辞儀をします。それから、お茶碗を時計回りに90度回して、親指をお茶碗の手前にかけます。5本の指を揃えて持つと、斜めにしたときに滑り落ちる可能性があるので、召し上がるときは親指をお茶碗の手前にしっかりかけると安定します。それでは一口、召し上がってみてください」
森咲樹「いただきます」
小堀優子「いかがでしょうか?」
森咲樹「程よい苦さで美味しいです♪」
小堀優子「よかったです。後はゆっくり、ご自分のペースで飲みきってください」
森咲樹「なんだか、心が温まります。さっきお菓子をいただいたので、苦すぎず、ホッとしますね。(飲み終え、口をつけた部分を指で拭う)」
小堀優子「咲樹さん、さすが!(保育園の時の経験が)身についてらっしゃいますね!今していただいたとおり、口をつけて汚れているところを清めるというのがお茶の心になります。遠州流では、「人さし指で右から左」次に「親指で左から右」に、漢字の「〆」を書いて、清めたという合図になります」
森咲樹「右から左・・・・・・親指で・・・・・・(実践)」
小堀優子「そうしたら、ご自分に正面が向くように逆時計回りにお茶碗を回してください。以上が、お茶の飲み方になります。いかがでしたでしょうか?」
森咲樹「難しかったですけれども、綺麗にお茶を飲めると、素敵な女性になれた感じがして頑張ろう!と思えました。身がキュっと引き締まった感じです」
小堀優子「お茶碗を何回、回すのかなど、お作法って難しく感じられるかと思いますが、大事なことは、その意味なんです」
森咲樹「意味?」
小堀優子「お茶碗の汚れたところを清める場合、遠州流では〆字ですが、先ほど森さんが少し拭ったのも、相手を思う気持ちですよね。お客様に、お茶碗の一番美しい部分でお茶を飲んでほしいという亭主の心遣いに対して、お客様は逆に、そんな美しい部分では飲めませんという「譲る気持ち」というのでしょうか。そういったことがすごく大切だと思います。お作法のルールはありますが、その意味が分かると色々なところで応用ができるようになってくるので、もっとお茶を楽しんでいただけるのではないかと思います」
森咲樹「お作法はルールと思いがちですけど、意味を知ると納得してすんなり覚えられそうです。こうやってお菓子とお茶をいただいたとき、相手とお辞儀をすること、お茶を飲むときに回すのは、一番綺麗なところを避けるためというのも、そういえば保育園の先生が言ってました!こういったことって、人として大事だな~と、ほっこりしました。保育園で茶道をやっていたときも、難しかったですけれど、自分が磨かれていく、清らかな気持ちになるのを幼きながらも感じていたので、これからがもっと楽しみです。ありがとうございました」
*おまけ①:お道具は、必須アイテムから揃えましょう
森咲樹「超入門編として、優子さんに服装から、たくさん教えていただきましたが、今度、茶道を始めるにあたって用意する物はありますか?」
優子さん「やはり、茶道は礼に始まり、礼に終わるのでお扇子。そして、お菓子の回で使った懐紙は必須になります。それから、お点前をするときや、お茶碗を運ぶときに「帛紗(ふくさ)」が必要になってきますが、まず大事なのは、ご挨拶の時のお扇子と、お菓子を召し上がるとき、お茶碗を拝見するときに必要な懐紙をお持ちいただくといいかと思います。お洋服でいらっしゃる場合は、必ず靴下を忘れずにお持ちくださいね」
*おまけ②:茶道の流派はいろいろ。遠州流が90度な理由
森咲樹「保育園で習っていたときは、お茶碗を三回、回していました。今日は90度、一回だけということで、色々な流派があるんですね」
小堀優子「まさに、それこそお茶の心なんです。一回でも何回でも意味は同じで、正面を避けるという日本人の心が表現されています。また、一歩進んでお点前を始めると分かるのですが、お出ししたお茶碗が返ってきたら、そのお茶碗を清めるんです。お湯を入れて、「建水」というすすいだお湯をこぼす道具があるのですが、90度回して飲むと、清めてお湯をこぼすときに、ちょうど口をつけたところからお湯が流れて、飲みくちが自然に清められるように遠州流では工夫されているんですよ」
森咲樹「すごい。そんな工夫があるんですね」
小堀優子「合理的に作られていますよね。90度で一度だけ回すのは、遠州流独自のお作法のひとつです」
小堀優子(こぼりゆうこ)
遠州茶道宗家 13世小堀宗実家元の次女として生まれる。幼少より祖父12世宗慶宗匠と父宗実家元より、茶道の手解きを受ける。学習院大学法学部卒業。在学中よりラクロスで活躍。日本代表として活躍するとともに、後進の指導にあたる。平成22年より、父宗実家元の内弟子修行を始める。
森咲樹(もりさき)
2011年結成されたアイドルグループ、アップアップガールズ(仮)のメンバー。現在テレビ東京系で放送中の『チャージ730!』(毎週月~金曜朝7時30分~)ではお天気キャスターに抜擢され月曜日担当チャージガール!として活躍中。NHK Eテレ放送中『Rの法則』(月~木曜午後6時55分~)にもレギュラー出演中。
●個人ブログ
アイドル&お天気キャスター 森咲樹が初めて出会う「茶」から発見するたくさんの想い「森Tea 百茶百想~お茶と私のあれこれ~」