息子とモン・サン・ミッシェルに行ってまいりました。離婚後、息子との絆をさらに強めるため世界中を旅してまいりました。父と子の2人旅って素晴らしいものです。旅を一つ終えるとぐっと信頼関係が増しますね。離婚を切り出された直後、私と息子はバルセロナに飛びました。これが2人旅の始まりでした。息子の学校が休みになるたびにその後、旅行をしてきたのです。
モン・サン・ミッシェルはパリから車で約5時間。フランスの西海岸に浮かぶ、まるで『天空の城ラピュタ』のような不思議な要塞のごとき小島です。実際はカトリックの修道院が中心に屹立し、その周辺を集落が取り囲む構造となっております。「西洋の驚異」と呼ばれ、もちろん世界遺産です。パリ同時多発テロの後、日本人観光客がパリから姿を消すのですが、ここにはたくさんいました。日本人だらけ、看板も日本語が中心でした。息子が、「パパ、ここ日本みたいだね」と喜んでおりました。それにしても幻想的で美しいところです。このような景観はそうそうお目にかかれるものではございません。自然の立地も素晴らしいのですが、長い年月(10世紀から)をかけ、そこに人間がこつこつと建造物を建ててきた努力と歴史がまた凄いのです。小島を覆う中世の建築方式がこの小島を一つの幻想へと形成していったのでしょう。
私はモン・サン・ミッシェルの対岸にあるホテルに滞在し、早朝、日中、深夜のモン・サン・ミッシェルを撮影し続けました。息子は食べること専門。モン・サン・ミッシェルといえば、ふわふわオムレツが有名ですね。しかし、これ一皿38ユーロ、約5千円もするんですよ。「パパ、もうひとつ食べてもいい?」と息子。「いや、高すぎるよ。うちで作るからさ、ちょっと我慢してくれないか!」
ということで、今日のムスコ飯、自宅で美味しく作れる『モン・サン・ミッシェル風ふわふわオムレツ』のレシピをご紹介したいと思います。現地で食べたものとは多少違います。でも、息子は「こっちのほうが美味しい」と絶賛してくれました(笑)。優しい子ですね。おべっかだと思いますが、それほど難しくありませんので、お宅で挑戦してみてください。材料費200円くらいで出来る、モン・サン・ミッシェルのオムレツです!
材料:小さめ卵4つ、大なら3つ。ベーコン、シブレット、生クリーム大2、バター、塩・黒こしょうだけ(笑)。
作り方:ボウルを2つ用意し、黄身と白身にわけ双方に塩を一つまみ入れます。黄身は、生クリーム大2、塩・黒こしょうを入れ軽く混ぜておきます。卵白は泡だて器で根気よく混ぜます。ボウルをひっくり返しても卵白がボウルに張り付いて落ちないようなムース状態がベスト。電動泡だて器があると便利です。黄身のボウルに泡立てた卵白を半分ほど入れ、卵白の泡を壊さないように、ムースを作る要領で優しく混ぜ合わせていきます。全体が均一になったら残りの卵白を足しましょう。大きめのフライパンにバターを溶かし、中火がいいですね。そこに卵のムースを、ヘラで均等に敷きつめます。パンケーキのように。中火から弱火にし、焦げ付かないように時折チェックしながら。予め炒めておいた細切れのカリカリベーコン、シブレットをちらし、底がこんがりして、上部が軟らかい状態になれば、OK。ヘラを使い、皿に手際よく移し入れながら、折りたたむような感じで二つ折りにします。真ん中の半熟部分がソースのように少し外に溢れ出せば、見事なモン・サン・ミッシェル風のオムレツの完成です。
詳しい写真付きのレシピをこちらにアップしますのでご参照ください。
ボナペティ!
エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!
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