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レシピ本『パリのムスコめし』を出版してからにわかに料理人の仕事の依頼が増えておりまして、本職作家兼ミュージシャンの私としてはやや複雑な心境の日々でございます。そんな折、ツイッターも熱く盛り上がっております。料理好きなフォロワーさんが集まってきまして、にわか料理教室みたいな感じになりました。140字しかスペースがないので、本当に簡単なものしかご紹介出来ておりませんが……。

 

そんな中、先日、煮卵(正確には半熟漬け卵)のレシピをツイートしましたところ、なんと4万人を超える「いいね」をいただき、リツイートも2万近くになりまして、ひっくり返りました。閲覧者数を調べましたところ、わずか2〜3日で170万人の閲覧が……。これでわかったことはみなさん「簡単にできる料理、裏技」を欲していらっしゃるのだな、と(笑)。しかし、簡単で最高のレシピというのはいろいろと失敗を重ねてこそ生まれるもの。半熟漬け卵のレシピも一夜にして出来たわけではありません。失敗の繰り返しの後に生まれた結果です。そして、それぞれの料理は応用してこそさらなる成果を生みます。たとえば漬け卵を作った後の漬けだれは捨てずに、から揚げや、野菜炒め作りに再利用します。一石二鳥の美味しさが訪れること請け合いです。無駄の出ない家庭料理を目指してこそ、幸せな家庭が持続出来るというわけです。そこで今日は、めっちゃ簡単なパテレシピをご紹介しましょう。「調理時間わずか10分、オーブンにぶっこんで30分で完成」という簡単、しかし見た目に豪華な一品です。これは試してみる価値ありますですよ。

 

南仏にいる友人のおばあちゃん(ドミニク侯爵夫人)にご指南いただきました。「フランス人の手抜きで美味しい料理を教えてください」と頼んだのです。「あのね、わたしゃ自慢じゃないけど、簡単料理の天才だからね」とおばあちゃん。「いいかい? サーモンの水煮缶で作るのよ、手間が省けるからね」と念を押されたのですけど、水煮缶、日本だとあまりないですよね? だから、今回は生サーモンで作らせていただきました。それでも簡単です。

 

必要な道具:10×25cmのパウンドケーキ型。材料:サーモン水煮缶200g(生サーモンを茹でてもよい)、卵4個、サワークリーム60g、生クリーム60g、レモン半個、ケチャップ大さじ1、タバスコ 小さじ1強、塩 小さじ半分、こしょう適宜、ソース:マヨネーズ 大さじ5、ハーブ大さじ2(ディル、イタリアンパセリなど)。サーモン水煮缶(水分はよく拭き取ります)がない場合は、サーモンを茹でます。沸騰したお湯に塩(分量外)を少し加え、サーモンを入れ、しっかり火を通す。茹で上がったらサーモンの水気をきり、骨を取り除きながらよくほぐす。10×25cmのパウンドケーキ型にほぐしたサーモンを入れ、そこに、レモン、ケチャップ、タバスコ、塩・こしょうを加え混ぜ合わせます。ボウルで卵を泡立て、生クリームとサワークリームも加えてよく混ぜ合わせたらパウンド型に流し込む。全体をよく混ぜ、予め熱したオーブン、200度で、約40分。底、横にオリーブオイル(分量外)を薄く塗ってから使いましょう。その方がよく焼きあがります。焼きあがったらよく冷まし、切り分け、焼いている間に作ったハーブマヨネーズソースをたっぷりかけていただく(マヨネーズにみじん切りのハーブを混ぜるだけ! フランス人はこのソースをびっくりするくらいかけて食べます!)。翌日の方が、味が馴染んでさらに美味しくなりますよ。今回作ったのはおばあちゃんからいただいたレシピの半量。全量で作ればパウンドケーキ型いっぱいのサーモンパテが出来ますよ(その場合は卵6個くらいがベストかな)。パウンド型からふっくらと盛り上がるパテは圧巻です。

 

家族の幸せに、ボナペティ!

 

エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!

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