最近観光地で見かけることが増えた「人力車」。
ちょっと値が張るにも関わらず、次から次へと訪れる観光客…!
何が観光客の心を掴むのか?
実際に人力車に乗ってみると、そこにはとんでもないトキメキが待っていた。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!
「東京で最も活気がある場所」と言っても過言ではない、
一大観光地の浅草・雷門。
国内国外問わず人が訪れ、年中無休で賑わうその場所で
ひときわ威勢がいい人たちがいた。
人力車を曳く俥夫たちである。
「人力車いかがですか!」「写真お撮りしましょうか?」
威勢のいい声が飛び交う。
明治時代に誕生した「人力車」。
タクシーの登場などで一度は廃れたものの、20年ほど前に観光サービスとして復活を果たした。
以来徐々に定着し、ここ数年、京都・鎌倉・浅草と言った観光地において定番となってきている。
今では浅草にも10社以上人力車の会社があるそうだ。
わたしは人力車がこれほどまでに普及した理由を探るべく、数ある中でも
俥夫がユニットを組んで曲を出したり俥夫カレンダーを発売したり、
世界一周に挑戦する俥夫がいたり…とちょっと訳分かんないほどにいろんな方向で楽しく人力車の認知度を向上させている『東京力車』さんで
人力車を体験することになった。
これまでわたしにとって人力車とは
“旅行に行った仲良しカップルがキャッキャウフフするもの”という認識だったが
よもやひとりで乗ることになるとは…。
誰かに見られて笑われるんじゃないか…そう不安に思うわたしの前に現れたのは
爽やかな笑顔振りまく大井達也くん。俥夫ユニット「東京力車UNIT」の一員でもある。
「ベンツ用意して来るんで、ちょっと待っててくださいね」
わたしがこれから乗るの、人力車じゃなかった。ベンツだった。
用意が出来るとまたわたしの元に帰ってきて、
「こちらです。姫」と案内される。
なんだろうこの破壊力は。
一体何が起きてるんだろう。わたしはいつから姫になったんだろう。
「この人力車に乗ってる間は姫ですよ」と大井くん改めたっちゃんは笑った。
早々にこれまでのカップルキャッキャウフフ人力車イメージは忘れ去られ
エスコートしてもらってウハウハするために一人で乗るべきものという熱いイメージに上書きされる。
「おためしコースだったら、浅草らしい町並みを観光するのとスカイツリーを観光するの、どちらかがお選びいただけるんですけど…今日は天気がいいからスカイツリーにしましょうか」
お膝にやさしくブランケットをかけてもらって、
記念写真も撮ったら
人力車(ベンツ)は出発した。
人力車は軽自動車と同じ扱いになるため、
車道を走りぬけることができる。
揺れも風も心地よくて
いくらでも乗っていられそう。
人力車は雷門のそばから隅田川のほうへと向かい、
スポットに着く度説明してくれた。
「あれ、アサヒビールのタワーなんですけど、なんだか分かりますか?実は社員の情熱の炎を表してるんです」
ただ見るだけではなく情報や魅力も教えてくれるので、さらに浅草が楽しい。
浅草には何度も来たことがあったが、人力車は知らない浅草を教えてくれる。
毎日のように浅草中を駆け回っている人しか知らない通なお話もたくさん聞けるのだ。
「ここはめっちゃオススメスポットです!スカイツリーが綺麗に見えます」
綺麗な場所に行くたびに、記念写真をぱしゃり。
楽しい気持ちごと一個一個写真に収めた。
おしゃべりが出来て、観光ができて、オマケに運んでもらえるなんて
こんな贅沢な時間があっていいんだろうか…!
あっという間におためしコースの30分は終了して、
浅草・雷門へと帰ってきた。
乗ってるこちらとして心配になるのは俥夫さんの足腰だが、
「コツがあって、それさえ覚えれば力はいりません。全然大丈夫です!」と心強いお言葉。
走るということで元陸上部率は高いそうだが、最近では女の子の俥夫さんも増えているくらいらしい。
夏場になればズボンの丈が短くなり、
思う存分脚の筋肉を堪能できるため筋肉フェチは浅草に集合すればいいと思う。
「お正月は長距離のお客さんが多かったので、1日23キロ走ってました。毎日ハーフマラソンですね(笑)。僕が乗せたお客さんで一番長距離だったのは、浅草から渋谷までです。2時間半かかりました」
観光だけではなく、交通手段として利用するケースもまれにあるそう。
急がず風を浴びる人力車の移動。なんて優雅な大人の遊びなんだ…。
「普通に観光に利用される方が一番多いですが、お話をしに来る常連さんもいます。そういう時はガイドはせずに、愚痴を聞いたり…。単純に“人力車が好き”って方もいらっしゃいますね」
乗る理由は人によって様々。
こんなにもいろんな形で楽しむことができる人力車、
日本に生まれたからには乗らないなんて損だ…!
今年1年分のトキメキを補充したわたしは、
また新たな知らない世界を探して荒野へと旅立ったのであった。
完
『東京力車』
https://www.tokyo-rickshaw.com/
チケット売り場:東京メトロ銀座線「浅草駅」1番出口正面
「お試し」一人3,000円・二人4,000円~
俥夫カレンダーも発売中!!