「シェイプできる」「体が鍛えられる」「護身術にもなる」ということで、
最近では格闘技を習う闘う女子が増えてきている。
今回うさこは格闘技「カポエイラ」を体験!
うさこ連載104回で最も過酷で楽しいその時間とは……!?
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
格闘技「カポエイラ」
アフリカから連れて来られた黒人奴隷がブラジルで自由を勝ち取るために編み出された格闘技で、
格闘していると思われないように身に着けたダンスのような軽やかさが特徴(起源は諸説あり)だ。
人々は楽器を鳴らし、手を叩いて歌をうたい、ホーダ(実戦)をする人たちを盛り上げる。
わたしは大阪を中心にカポエイラを教えている
『カポエイラアシェペルナンブーコ』にお邪魔した。
先生は本場ブラジルからやってきたコントラメストレ・マリャド。
週何度もレッスンを行っているが、中でも土曜日は
17:50~は音楽のレッスン、
18:50~は動きのレッスン、
19:50~はホーダのレッスンと多岐に渡る。
わたしは全てを体験すべく、がっつり土曜日の音楽レッスンから参加させてもらうことになった。
レッスン場がある靭スタジオの地下に訪れると、
遠くから楽器の音が響いてくる。
スタジオに到着すると、見たこともない楽器を奏でていた。
いつでもカポエイラが出来るよう体操ができる服に着替えてから音楽のレッスンに参加。
わたしが初めに担当したのは「パンデイロ」という、タンバリンのような楽器。
他の人が弦楽器「ビリンバウ」や太鼓「アタバキ」を担当し、わたしたちは楽しい音楽隊になる。
リーダーとなる人がポルトガル語で紡がれる歌をうたい、他のメンバーはそれを復唱した。
パンデイロは常に基本のリズムで鳴らすシンプルな動作。
サクッと習得し得意げな顔で演奏していたがいつまで経っても演奏が終わらない。
それは一度楽器を鳴らし始めると20分近く止まらない耐久パレードだった……!
度々ゲシュタルトが崩壊し音楽を乱しつつも、なんとか気を強く保って演奏し続ける。
時々バレないようにこっそり手をゆるめたりもした。
音楽レッスンだと思って油断していたけど既に鍛錬は始まっていたんだ……!!
雰囲気はゆるく楽しいのに、わたし以外は誰ひとり演奏する手を緩めない。
このゆるさと厳しさの甘辛MIXこそ、カポエイラの面白さなのかも……?
わたしはそう思いながらも、レッスンを続ける。
動きのレッスンになると、次から次へと生徒さんがやってきた。
10人ほどの生徒さんの中には女性も多く、あまりに華麗な準備運動に衝撃を覚える。
初心者のわたしはまずは基本の動き「ジンガ」を教わった。
足を大きく開き、左右に体を動かすステップ。
これを続けることがカポエイラの基本となるが、
運動不足のうさこ、そもそもこれが非常にしんどい。
ここから技を避けるために左右に低くしゃがむ、
あるいは前後に低くしゃがむをリズミカルに繰り返す。
ふくらはぎからふともも、股関節、体幹、さらには防御のため顔の前に掲げる腕に至るまで
満遍なく筋肉を動かす全身運動。
なんて余すことなく肉体をエンジョイしているんだ……!
普段わたしは常々「自分の身体の機能持て余しすぎてるな」と思っているが、
この人たちは今、カポエイラによって際限なく肉体を満喫している……!
しかもやはり雰囲気は明るい。
多くの武道では笑顔は厳禁だが、このレッスン場では笑顔もこぼれる。
本当に心底しんどいんだけど、「やろうよ!」って楽しそうに言われると
ついつい頑張りたくなる。
いつも甘えて運動をサボりがちなわたしだが、もしやこれは最強の運動環境なのでは……?
先生の高速キックが怖すぎて変な声を上げながらよけたりしつつジンガをひたすら練習し続け、ホーダに挑むことになった。
最後のレッスン、ホーダ。
実際の音楽に合わせて輪の中でひとりが攻撃し、ひとりが防御する言わば「組手」のようなものだが、決まった型があるわけではない。
相手の攻撃を見て避け方を決めるのだ。
周りの人はただ見るだけではなく、楽器を鳴らし、手を叩いて歌をうたうことでカポエイラの世界観を作っていく。
「やってみなよ」とお声をかけていただいて、
わたし(へなちょこ)も輪の中へ突撃することになった。
恐る恐る出陣。
もうこの頃既にわたしの脚は筋肉疲労でプルプルしていたが、
みんなが囲んで音楽を奏でる中、踊るように闘うのはとても不思議な感覚だった。
相手が繰り広げる足技に合わせ、ディフェンス!ディフェンス!
時間はあっという間に過ぎてゆき、気付けば3時間も運動し続けてしまった……。
歌やダンス、いろんな要素がある一風変わった格闘技“カポエイラ”。
スタッフのバンブーさんは音楽から惹かれたひとりだ。
「もともとはビリンバウの音に惹かれて始めました。
格闘技は抵抗があったけど、音楽があって楽しそう!と思って。
続けていくともちろん難しいことも出てくるけど、
出来なかったことが少しずつ出来るようになってくるのが楽しい」
他の女性も「和気あいあいみたいな雰囲気に惹かれました。楽しく運動できる」と語る。
すごくよく分かる。
柔軟性も筋肉も必要で、楽しくてしんどいこのオールラウンドなスポーツ“カポエイラ”
うさこ史上最も過酷だった時間は、
同時に音楽にノった楽しい時間でもあった……!!
しかしその後かつてない筋肉痛により5日間は動くたび悲鳴が漏れたことは言うまでもない。
マッスルが悦ぶ体験……!
『カポエイラアシェペルナンブーコ』
http://www.capoeiraachepernambuco.com/
靭スタジオ:090-9997-0628(平日は夕方17:20以降~)
メールは、info@capoeiraachepernambuco.com