米ぬかで体を温める「酵素浴」という健康法がある。
「癌に効く」「デトックス」「免疫力を高める」「体質改善」聞こえてくる効果は数知れず。
古くよりよいとされる米ぬかのパワーを思い知る。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
神戸から神戸鉄道に乗って北鈴蘭台まで。
駅から無料シャトルバスに乗ると、10分ほどで山奥の楽園「すずらんの湯」に辿り着く。
地下1,137mから汲む温泉もさることながら、ここでの目玉は「酵素浴」。
離れに向かうと、酵素浴専用の受付が現れた。
5年程前から健康に関心がある人たちの間で話題になり始めた酵素浴。
今では年間7,000人ほどが訪れるそう。
受付を済ませると、4部屋あるうちのひとつに案内してくれた。
綺麗なシャワールーム、そして人ひとりが満足に横たわれる浴槽。
中は米ぬかで満たされており、酵素の力で自然に発熱し、じんわりと温かい温度を保っている。
「この浴槽は60℃くらい。これに15分入ります」
60℃に15分…夏は35℃でも暑くてたまらないのに?死ぬんじゃなかろうか…。
「服を全て脱いで、酵素風呂の中に横たわり、軽く上に米ぬかを体にかけておいてください」米ぬかで裸を隠せるシャイな人にも安心なシステム。
不安を抱きながらも言われた通りに生まれたままの姿になり、浴槽に横たわるべく足を踏み入れる。
どんな感触がするのかと思ったが、沈み込むこともなく砂のように踏みしめる感覚。
同時にやさしめの熱が伝わる。
自分で米ぬかをかけて少し待つと、スタッフがスコップで米ぬかをかけにきてくれた。
そしてわたしは完全に埋まった。
米ぬかにぎゅっと抱きしめられ続けているようなほのかな重み。
暑いが耐えられないということはなく、やさしい顔してじわじわじわじわと体を侵略していくようなあったかさだ。
何よりも15分間動けないのが辛いんじゃないか。閉所恐怖症のわたしはそう思っていた。
そこにオプションの米ぬかフェイスパックをスタッフのお姉さんが唯一出ている顔にハケで塗っていく。
米ぬかからにゅっと白塗りの顔がのぞくような形に。
なんてパンチのある絵なんだ……。
体を包む熱が、体の芯までどんどん温めていく。
普段冷え性で冷え切った部分までもが溶かされていくようだ……。
米ぬかに包まれすぎてもうよく分からないが、大量の汗が流れ出ている模様。
ただただ15分耐えるだけでは辛かっただろうが、5分おきにわたしの顔の上と頭の下にあるおしぼりを取り換えてくれるスタッフの細やかな気遣いで、15分はあっという間に過ぎてくれた。
米ぬかから這い出て、シャワーを浴びる。
ゾンビか。
シャワーでは体に付着した大量の米ぬかが流されていった。
事件現場か。
いつもどんなに暖まってもすぐに湯冷めしてしまうキングオブ冷え性のわたしだが、酵素浴は出て時間が経っても体が熱いまま収まらない。
休憩所でゆっくり休ませてもらいながら、水分補給。
ここでは「宮水(地下水)」と、「黒の奇跡(黒烏龍茶)」を自由に飲むことが出来る。
この日はサービスデーでコーンポタージュまでいただいた。冷たいおしぼりが気持ちいい。
5,000を超える酵素が作用している酵素浴。
はじめに酵素菌と米ぬか、水を混ぜ合わせると酵素が活きた自然発熱する米ぬかになる。
あとは米ぬかと水を継ぎ足すだけと材料はシンプルだ。
毎日「掻き混ぜる」というお世話が必要だが、スタッフさんはそのおかげで手がツルツルだという。
微生物の働きによって望める効果は絶大だ。
血行促進、発汗作用、アトピーや肩こりまで作用する自然治癒能力、美肌効果、ダイエット効果、免疫力向上、新陳代謝促進、疲労回復、リラクゼーション、腸内環境の改善、老化防止、癌の原因のひとつともいわれる活性酵素の分解、細胞の活性化……
どんな人の悩みにも対応するんじゃないかという万能さがある。
酵素浴の力を求めて、若い人からご年配まで遠くからでも通う人がいるのだ。
酵素浴から出たら、温泉へ突入。
さながら冷え性を撃退し代謝を活発にする「体温め道場」のようなすずらんの湯でツルツルの肌を手に入れた。
「すずらんの湯」
http://www.suzurann.jp/
兵庫県神戸市北区山田町小部字妙賀11-1
酵素浴:1回2,000円(予約は、078-595-2600まで)
温泉(大人):平日800円 土日祝950円