「早起きは三文の徳」という言葉があるように、早起きすると時間が有効に使えたり、シャキッと目が覚めて1日を有意義に過ごせたり、何かと人生得をすることが多いと言われている。
成功者たちの中にも早起き愛好家は多いため、最近では朝いつもより早起きをして活動する「朝活」が注目を集めている。
朝ヨガや朝ジムなど各地で朝活が行われる中で、今回は「朝勤行」に参加した。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
朝6:30、前回宿泊した宿坊「和空 下寺町」へ。
宿泊者のみならず朝活は誰でも1,500円で参加することができる日帰り体験だ。
普段夜型のためこんなに早起きをすることがないわたしは目をこすりながら集合場所である大広間へと向かう。
全員が集まると、解説が始まった。
これから行くお寺は愛染堂 勝鬘院(あいぜんどう しょうまんいん)。
住職が毎朝行う勤行に参加させていただく。
愛染堂はかつて聖徳太子がはじめて税金で建てたお寺「四天王寺」の一部だったが、戦や空襲で離れ離れになり、今は独立したという歴史を持つ。
祀られる「愛染明王」は、良縁を司る神様で、年に数回しかご開帳日がない。
飾られている写真を見て、「あそこにおるねんな、顔はこれやねんな」と思うことが大事だそうだ。
その他どのようにして勤行が進むかある程度レクチャーを受け、我々は愛染堂へ出発した。
徒歩数分の距離を、近隣の説明を受けながらのんびり歩いていく。
7つの有名な坂のうち愛染坂をあがったところに愛染堂はあった。
「写経」の時もそうだったように、まずは手と口をゆすいで体を清めることが大事。
手水舎へ行く前に仏様に手を合わせるのは避けるべきだそうだ。
洗い方のルールもちゃんと教えてもらえる。
訪れる機会はあれど、一からルールを教えてもらう機会はなかなかない。
改めて誰かから正しい知識を聞けるのは、非常に貴重な体験だった。
金堂(こんどう)に入る前に、塗香を塗って体を清める。
カレー風のおいしそうな香りに包まれながら用意された座席に座ると、勤行が始まった。
愛染堂では由緒ある勤行が今なお行われている。
住職が時には太鼓や鈴を鳴らしながらまるで歌うように唱えるメロディーのついたお経「声明(しょうみょう)」、
仏様を供養するために花(今では花を模した紙)を撒く「散華(さんげ)」、
護摩をくべるために燃え盛る炎。
目の前で行われる神聖な儀式に思わず目が釘付けだった。
参加者もお焼香をして、
祈祷をしてもらい、勤行は終了した。
終了後は歴史ある境内を散策に。
勤行を行った金堂の後ろにある多宝塔(たほうどう)は、593年推古天皇が建てたもの。
織田信長に焼かれたが、豊臣秀吉によって再建された。
特に歴史に詳しくないわたしでも知ってるような有名人のオンパレードだ。
お寺は戦の際の待ち合わせスポットとして利用されたため、標的にされ燃やされる機会も多かったが、多宝塔だけは桃山時代の姿のまま現存している。
自称愛染明王オタクのスタッフさんは、次から次へといろんな話をしてくれた。
愛染明王はたくさんいる明王の中でもパワーが強いため、1年に数回しかお顔を見ることはできない。
修行をしていない人間が拝んでしまうと危険があるそうだ。
お寺が行う限定公開はてっきり仏像の状態を守るためと思っていたが、まさか我々が守られていたとは……。
知識を持ってお寺に訪れると、全く違った世界が見える楽しさがある。
「愛染明王は縁結びの神様ですが、人と人の縁を結ぶことから商売の神でもある。昔は女子が“いい人と結婚できますように”と祈ってる時に男性は“商売がうまくいきますように”と祈ってたけど、今は男子が“彼女ほしい”女子が“リッチになりたい”と願ってる、そんな移り変わりを目の当たりにしています」と住職は笑った。
宿坊に帰ったら朝食の時間。手間ひまかけて作られた朝粥を頂く。
禅の世界ではお粥には10の良い効能があるとして好まれる。
効能のひとつに「食べ過ぎとならず体が安楽」ともあったがこれも精進料理の山菜ご飯と同じくこれもおかわり出来るので、つい煩悩に負けておいしさを選んでしまったわたしは修行が足りない。
朝粥を食べ終わっても時計を見ると、まだ9時を指していた。
これだけ充実した朝を過ごしながら、たっぷり1日をゼロから始められる。
冠婚葬祭で訪れることも多く身近な存在でありながらそのほとんどを知らないお寺で、神聖な朝を迎えよう。
【日帰り・朝食付】身体に優しい朝粥と朝のおつとめ体験
料金:1,500円/問い合わせは、宿坊「和空 下寺町」へ