<この物語は、ある霊能力者をモチーフにして描かれたフィクションである。>枯草の匂いがする。とうに沈んだ陽が、それでもまだ残照の幾らかを足元の草々に残していた。明美は、この枯草に残る夕日の匂いが好きだった。それはまだ、柔らかな温かみを求めて家路を急いだ幼き日々を思わせる、鼻腔をくすぐる懐かしさを漂わせていた。しばし紅に染まった山の端に見蕩れる。背後の樹間にはすでに闇が佇ん...

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