image

先月、わたしたちの住む横浜市戸塚で、鎌仲ひとみ監督の『小さき声のカノン』上映会と、トークセッションイベントが行われ、夫と二人で参加させていただきました。

image

鎌仲監督は、被ばくという観点から多数の映画を製作されていらっしゃいます。
人間の欲望がつくりだしてしまった核という負の産物と真正面から向き合い、その現実を客観的に分かりやすくまとめ、それでも生きていかざるを得ないわたしたち人間は、どのような選択をしていくのがよいのか考えさせられる機会を与えてくれます。
一方で、そのお人柄は明るく、優しさと正義感に溢れていて、ファンが多いことでも有名です。

image

こちらの『小さき声のカノン』は、福島とチェルノブイリにおいて子どもたちを被ばくから守るお母さんたちのドキュメンタリー映画。
29年前のチェルノブイリ原発事故以降、ベラルーシやウクライナの子どもたちの身体にはどのようなことが起きたのか。
そして4年前の福島第一原発事故以降、福島の子どもたちの身体にはどのようなことが起き始めているのか。
新聞やテレビなどのマスメディアでは知りえない、人間の家族が放射能と向き合う〝現実〟を知ることができる貴重な映画です。
全国各地で自主上映会が開催されていますので、まだ観たことがない方は、ぜひ観てみてください。

映画上映後に、鎌仲監督と、国際環境NGO FoE Japan理事の満田夏花さんと、みんなのデータサイト事務局長の石丸偉丈さん三名のトークセッションが行われました。
このときに、日本の土壌がどれだけ放射能で汚染されたのかを明らかにする、石丸さん率いる『東日本土壌ベクレル測定プロジェクト』について知ります。

image

福島第一原発事故によって、一体どれほどの放射性物質が放出されたのか、風や雨や雪によって、どこにその放射性物質が降ったのかを知るには、半減期が2年と短いセシウム134の減衰率を考慮すると、数値が正しく測定できるこの一年が特に重要な年となるそうです。
これまで政府や自治体で測定されたデータは、統一手法に欠けていて、公開されぬままのものが多い問題を抱えているとのこと。
一般市民が自宅の庭や、学校や公園(公共の土地は事前に自治体等に許可をとる必要があります)などの土を掘って採取し、指定の測定所に送り、その結果をマップにしていくこのプロジェクト。
しかも測定費は無料!
すでに岩手県の土壌汚染マップはできてきて、市民の力の大きさを感じます!

協力できるものは積極的に行動していこう!ということで、さっそく我が家の庭の土を測定に出すことに。
正直に言うと、汚染が高いことが判明して、これから家庭菜園を楽しめなくなってしまったら辛いなと思いました。
でも、まずは知ることから全ては始まります。
不安や心配に負けて現実から逃げていては、自分の命も大切な家族の命も守れません。
残酷な結果が出たとしてもしっかり受け止めて、対策を練って最大限被ばくを避けて生きていこう!
そう心に決めて冷静に向き合い取り組むことに。

危険な土地に人が住んで生活をしていることを、わたしたちはもっと知り、深く真剣に考えていかなくてはいけないと思います

まず、採取する場所を決めて、10㎝×20㎝×5㎝(深さ)の土壌を、一リットル分採取します。
牛乳パックなどを使うと便利です。

image

ビニール袋に入れて、よく揉んで土を撹拌して均一にします。

image

我が家のように雑草がある場所は、雑草の根の周りの土に放射性物質が溜まっているそうです。
このような場合は、広げた新聞紙などに雑草ごと土を2~3日乾かして、根を1㎝くらい細かく切って一緒に混ぜるとよいとのことです。

採取した土と申し込み用紙を段ボールに入れて梱包して、所定の測定所に郵送します。

image

もし測定に協力される場合は、ホームページに定められた土壌採取方法がきちんと記載されていますので、必ず確認してくださいね。

土を送るために、夫と一緒に近くのコンビニエンスストアまで箱を抱えて歩いているときに、思わずこんな言葉がわたしの口から出てきました。

「まさか自分の家の庭の土を放射能汚染測定する人生になるなんて、夢にも思わなかったな。つくづく変な時代に生きてるなって思うの。」

母なる大地と称される美しき地球の土。
さまざまな土壌菌を育み、草花や木々の命を生みだし、虫や鳥たちや動物たちやわたしたちの住みかを支える、おおもととなる大地。
その大地の土が放射能で汚れ、人間の手によって測定器に入れられ、その汚染度を測られる。
夢なのか現実なのかよく分からなくなってくるような感覚でした。

原発事故以前は、100Bq/kgの土は高汚染土として、ドラム缶に入れられ厳重に扱われるくらいでした。
しかし現在は、南関東地方では何百Bq/kgという数値が検出されることが珍しくなく、福島に近づくにつれて何千Bq/kg、何万Bq/kgという数値が出るそうです。
そのような危険な土地に人が住んで生活をしていることを、わたしたちはもっと知り、深く真剣に考えていかなくてはいけないと思います。

測定に送ってから5日後に、結果表が土と共に家に届きました。
これについては後編というカタチで次回書かせていただき、ご報告させていただきます!

こちらの記事を読まれて、協力したい!測ってほしい!と思われた方は、このプロジェクトに参加してはいかがでしょうか?
一人ひとりがこのような市民活動に協力することで、明らかにされない事実を掴むことができます。
知ること。
そこから全てが始まり動き出します!

関連カテゴリー:
関連タグ: