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9月1日、フランスは長い夏休みが終わり、待ちに待った新年度の始まりです。6月が学年末なので、2カ月もの夏休みの間、子供たちは宿題に追われることもなく(!)のびのびと休暇を過ごし、新学年に進級します。

 

学校近くのカフェでは、久しぶりに再会したママやパパが集まり満員御礼、店からあふれるほどに。私もそこで夏休みのこと、新しい先生のこと、習いごとのこと、一気に情報を交換して仕事に向かったのでした。

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左:カルターブルと呼ばれるフランスのランドセル。この時期、街に個性豊かに顔を並べる。
右:学校近くのパン屋さんに並ぶ焼きたてヴィエノワズリー。この雑さがまたいい。

 

公立幼稚園、小学校では初日から給食もあるので、子供たちは夏休み気分を引きずる間もなく、いきなり8時半から16時半まで、みっちりと学校生活を送ることになります。フランスでは小学校卒業までは必ず、保護者もしくは登録してある代理人が送り迎えするよう法律で義務付けられているため、チャイムが鳴って子供たちが学校から出てくると、あちらこちらから「おなかすいた! 今日のおやつ何?」というかわいい声が飛び交います。

 

パリには地区ごと数メートルおきにパン屋さんがあるので、学校のまわりにも必ずといっていいほど存在しています。私の子供が通っている小学校は向かいがパン屋さんなので、学校を出た子供たちが一気に店に押し寄せ、毎日長~い列ができています。

 

今回は、フランスの子供たちのおやつ事情をご紹介しましょう。

 

子供たちが買うものはほぼ決まっていて、ダントツの一番人気は「パンオショコラ」。クロワッサン生地に2本の細い板チョコが入り、サイズは大人の手のひらいっぱい! そんな大きなパンオショコラを幼稚園の子供でさえ、ペロッと1個たいらげてしまいます。近所のパン屋さんでは16時半に合わせてバゲットとパンオショコラが焼き上がるので、その香ばしいにおいにつられ、窯から出されたばかりのパンを目にすると……ついつい自分の分も買いたくなってしまいます。夕方のパン屋さんはとても危険なのです。

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左:焼きたてのパンオショコラのおいしさは、「フランス万歳!」と言わざるをえません。
右:昔ながらのおやつ。バゲットにバターを塗り、板チョコをナイフで削ったもの。

 

ちなみに、フランスの昔ながらのおやつに「バゲットを半分に切り、バターをたっぷり塗って、削った板チョコをかけたもの」があります(板チョコをそのままはさむ大胆な食べ方もあります!)。私もときどきこのおやつを再現しますが、これがけっこうおいしいのです。バターたっぷりのヴィエノワズリーは高カロリーですから、こちらのほうがずっとヘルシーですね。

 

チョコレートがあまり好きではない子供たちには、クロワッサンやブリオッシュオシュークルが人気。ブリオッシュオシュークルとは、ブリオッシュの上にパールシュガーがのっているもので、バターの香り豊かなパン生地にジャリジャリッとした砂糖の組み合わせが絶妙です。

 

そして、放課後のパン屋さんには、子供たちのもうひとつ楽しみがあります。それは、街のパン屋さんに必ず置かれているボンボンコーナー。ボンボン(BONBON)とはフランス語で「飴」のことですが、フランスの子供たちの間では主に、ドイツ生まれの「HARIBO」などのグミキャンディを指します。店の片隅にいろいろな種類のボンボンが並べてあり、子供たちはその前に列をなし、「私はあれと、これと、それ」というふうに、ママやパパから決められた個数だけを選んで店の人に詰めてもらうという仕組み(ひとつ5セントから25セントくらい)。小さな紙袋に入れてもらったら、子供たちは満足顏でパン屋さんを出ます。子供たちも立派なお得意さまですから、ときどきおまけをしてもらえることもあり、そんな日は学校であったことなどすっかり忘れて、本日の一大ニュース が「パン屋のマダムがボンボンをひとつおまけしてくれた!」ことに。ベッドに入るまで「どのような状況でおまけしてもらったか」を熱く語り続けます……。ちなみに、わが家では4つまで(プラス、好きなおやつひとつ)しか許可していませんが、4つのボンボンでこんなにも喜んでくれるのです(笑)。

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左:いつも行くパン屋さんのボンボンコーナーは子供たちの憧れの場所。
右:ある日のボンボンセレクション。カラフルなのは、かたいラムネのネックレス。

 

最後に、おやつの番外編。校門の前でポケットからおもむろに、皮つきのままのりんごやにんじん(袋にも入っていない!)を出すママもいらっしゃいます。

 

型にはまらず、何でもアリ。結局それが、フランスのおやつ事情なのでした。

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