■厳戒態勢で臨んだ体当たり撮影
撮影現場は、まるで学校にいるようだった。
「中井貴一くん、柳沢慎吾くん、手塚理美ちゃん、時任三郎くんなどみんな同年代ですからね。2日間リハーサル、2日間スタジオ、2日間ロケというスケジュールで、休みはほとんどなくずっと一緒。一人暮らしをしていたさぶちゃん(時任)の家にみんなで押しかけて枕投げをしたりと、思い切り青春を味わいました」
高橋さんは、体当たりの撮影にも挑戦した。
「貴一くんがお客さんとして店に来て、私が個室で上半身を脱いで接客するというシーンがありました。撮影は備え付けのカメラで行い、その様子を映すモニターも、ほかの人が見えないようにするなど、配慮していただきました。でも、無事に演じ終えると守衛さんが『すごくよかったよ!』と褒めてくれたんです。どうやら、守衛さんの見ていたモニターには映ってしまっていたみたい(笑)」
女優として成長する姿を、寺山さんはどのように見たのだろうか。
「じつは1話が放送される前に他界されたんです。私は泣くシーンを撮影するというタイミング。寺山さんに“ひとみは泣く演技なんてまだできないだろうから、僕のことを思ってしっかり泣きなさい”と導かれているような気がして。そんなこともあったから、私の一生の中でも、いちばん思い出に残っている作品なんです」
【PROFILE】
高橋ひとみ
’61年、東京都生まれ。’83年に『ふぞろいの林檎たち』でテレビドラマデビュー後、多くのドラマ、映画で活躍。TBS開局70周年記念舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」に出演中
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