「5年連続で特殊詐欺の被害額が増加しており、’14年の被害額は559.4億円と過去最高を記録しました。特に65歳以上の高齢者が被害の79%を占めています」

 

そう語るのは、あらゆる種類の詐欺に絡む消費者問題を多く扱う紀藤正樹弁護士。詐欺の手口は日々、進化しているという。最新の詐欺の手口と、その傾向と対策を聞いた。

 

【オレオレ詐欺】

〈手口・傾向〉金融機関を通じて「振り込ませる」ものに加え、犯人が現金やキャッシュカードを直接自宅などに取りに来る「振り込ませない」振り込め詐欺(「受取り型」の手口)が増加している。

〈対策〉被害者の約9割は、60歳以上の高齢者。ふだんの家族間の連絡頻度や信頼関係が、被害防止と密接に関係している。高齢者の子や孫世代は、自分から頻繁に連絡を取るなどして、両親が被害者にならないように注意を。

 

【ギャンブル必勝法詐欺】

〈手口・傾向〉パチンコ・パチスロ攻略法や「出る台を教える」という情報、競馬や競輪、競艇などの順位に関わる虚偽の情報を餌に、会員登録や情報料の名目で現金を振り込ませる手口。「ロト6」の当せん番号教える、と持ちかける詐欺も多発している。

〈対策〉「必ず儲かる」「絶対に当たる」などという執拗なアピールには乗らないように。確実に儲かるギャンブルはない。特に、ロト6の当せん番号が事前にわかることはありえない。

 

【還付金詐欺】

〈手口・傾向〉自治体の職員、税務署員などを装い「医療費、保険料、税金を還付します」などと払い過ぎたお金が返還されるかのように偽り、ATMへと誘引される。

〈対策〉還付金をATMで返還することは絶対にないので、「携帯電話を持ってATMへ」と言われたら、還付金詐欺だ。

 

【架空請求詐欺】

〈手口・傾向〉契約した覚えのない有料サイトを「どこかで契約した」かのように見せかけて、「利用料金未納」「退会手続きができていない」などと多額の料金を請求される。

〈対策〉相手の業者はメールアドレス以外の情報を知らず、メールで請求してくることがほとんど。返信せず、無視し続けること。

 

【フィッシング詐欺】

〈手口・傾向〉会員制サイトや実在の有名企業を装い、URLリンクが貼られたメールが送られてくる。最近ではすでにそのサイトにウイルスが仕込まれており、クリックすると、カードの会員番号や銀行口座などのIDやパスワードを盗まれることも。

〈対策〉思い当たる節のないメールや添付ファイルは安易に開かないように。個人情報を入力する場合は、リンクに貼られたURLからではなく、正規サイトのトップページから順を追って入力する方法が有効。

 

【マルチ商法詐欺】

〈手口・傾向〉健康食品・エステ・宝石・補整下着などの商品を扱い、不労所得的な報酬(手数料、ボーナスなど)を勧誘の材料にして、加盟者が新たな加盟者を勧誘するもの。「いいものだから」と、高額商品を売りつけられる。20代女性の被害が多い。

〈対策〉名前も知らない企業の商品には注意。一般的な相場価格を確認し、2倍以上の金額の場合には怪しいと思うべき。

 

「私は引っかからない」と自分を過信しないようにするのが、詐欺を防止する近道だ。

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