11月の大統領選挙に向け、民主、共和両党の指名争いが本格化している米国。共和党の“台風の目”になっているのが、「米国の不動産王」ドナルド・トランプ氏(69)だ。
「『イスラム教徒を入国禁止にしろ』など、過激な発言を繰り返して注目を集めています。支持率は40%を越えて、トップを爆走しています」(外信部記者)
父親の不動産会社を継いで頂点に登りつめたトランプ氏。“過激発言”は同盟国の日本にも向けられ、「もっと強硬姿勢で臨むべきだ」という趣旨の発言をしたことも。
相手構わず暴言を放つ“大統領候補”に、世界中が危惧の目を向けているのだが――。
本当にこのまま彼は“米国大統領”になってしまうのか。国際政治ジャーナリストの小西克哉さんに聞いてみた。
「彼が大統領になるには、まず共和党の指名候補にならないといけません。共和党でも民主党でも、党内では過激なことを言ったほうが受けるんですよ。だから、今の段階では支持が伸びてるんです。
でも、彼には“お金”はあるが“組織”がありません。過激発言で世論に風を起こしてきましたが、いよいよ2月から、各州で共和党内の予備選が始まります。風だのみだけでは、このまま独走を続けることは難しい。勢いはもって2月までと見ています」
トランプ氏が増長し、過激な発言をすればするほど、ほくそ笑む人もいるという。
「それは、民主党の指名争いでトップを走る、ヒラリー・クリントン(68)です。
共和党内の指名争いで過激発言を繰り返すトランプ氏ですが、クリントン氏と争う大統領選の本選挙はまた別です。国民の大多数を占める中間派の支持がなければ当選できません。過激発言で突っ走るトランプ氏は、そこで必ずしっぺ返しを受けることになる。
だから、クリントン氏にとって彼が出てくることは、願ってもない展開です。
いくつかの州では、共和党員でなくても、共和党の予備選に投票できる州があります。共和党の予備選に、ヒラリー支持者が大挙して駆けつけてトランプに投票する――そんな珍事もあるかもしれません」
予備選が始まれば、過激発言で結局自爆するというトランプ氏。“自爆の2月”まで、もうあと1カ月……。