「日本人は保険好きといわれますが、生命保険文化センターの統計では日本人が支払っている生命保険料は、全世界で支払われている保険料総額の30%以上。世帯加入率は90%。『2012年版生命保険の動向』(生命保険協会発行)によると個人生命保険の契約総件数は1億2千720件、残高は865兆3千465億円で日本の年間国家予算の約10倍です」(ファイナンシャルプランナー)

 

さらに驚くのは保険協会加盟43社で約1千種類という商品の多さだ。そうなると保険選びを迷うのは必然。そこで気になってくるのが、保険営業担当者自ら選んだ保険はどれなのかということ。その道のプロはいったい、どんな保険を選んでいるのか?

 

外資系など“カタカナ社名”の生保会社に勤める男性営業社員Aさん(53)の場合。Aさんは運用方法を自身で決められるリスキーだがリターンも大きい変額保険などを積極的に活用し、きめ細かく“もしものとき”をカバーしている。

 

「保険料は総額で月に5万円以上を支払っていますが、すべて65歳で支払いは完了して、医療保険と死亡時1千万円の終身保険は一生涯続きます。その支払い総額は約1千500万円になりますが、入院等の給付金を貰っても80歳時死亡で別途1千350万円が支払われます。変額保険終身型は、このままの運用であれば解約しても老後資金として1千万円程度は期待できそう。ただ、そろそろ老後が心配になってきたので、この変額保険を解約か減額して積立型の介護保険に替えるかもしれません」(Aさん)

 

また、妻と子供2人(小学生、幼稚園)がいるファイナンシャルプランナーDさん(32)は収入保障に重点を置いているようだ。

 

「私が死亡しても、55歳になる相当月まで月額15万円が支払われる収入保障保険に入っています。国から遺族年金が10万円出るので合計25万円。自宅のローンが残っていなければ、なんとか子供2人を育てていける金額だと思います。子供の教育資金のために、夫婦それぞれが学資保険に入っています」

 

ファイナンシャルプランナーのHさん(38)は、夫(42)の保険にはがん保険を重視。月々3千500円の支払いで家族全員(子供2人含む)のがん保障ができる保険に入っている。

 

「医療保険は公的医療保険でも賄えますが、差額ベッド代なども必要になることもありますから。また、全額自己負担になる先進医療特約もつけました。さらに、契約更新型はあまりおすすめしません。必要のないものまで多くをカバーする商品の更新型は、年を重ねるごとに保険料が高くなりますから。主人が20年前から加入している死亡時1千万円の終身保険は当時の利率がよく、60歳まで保険料が変わらないので続けています」

 

『生命保険の罠』の著者で保険相談室代表の後田亨氏は、「自分で用意できないお金を、急に用意できることが保険の魅力」と語る。

 

「売れ筋の医療保険給付金となると一件あたり10万円単位ですが、いっぽうで保険料の払い込み総額は200万円ほどになることも。医療保険にかぎらず、保険の販売側は、多くの要素を混ぜて契約者の判断を難しくさせる。自己資金ではどうしようもできない部分をしっかり保険に入り、起こりがちだけど、たいしたことにならない部分は自己資金で対応するのがいいです。私は子供がいないので健康保険のみです」

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