’13年に世間を席巻した、アベノミクス効果。これに続き、’20年の東京オリンピックが決まるなど、景気の上向きを感じさせる話が聞こえてきた。東京都は、’13年から’20年までの経済波及効果は約2兆9千609億円に上り、東京だけでなく、全国で15万人もの雇用が増えると試算している。
また、’13年4月に『改正労働契約法』が施行され、繰り返し契約を更新して5年を超えた人は、申し込めば期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるようになった。これにより、パートや契約社員も正社員に近い待遇を将来的に得られる可能性が増えた。
まさに、主婦が再就職するのは今がチャンスといえそうだ。そこで、再就職のために押さえておきたいポイント6カ条を、ハナマルキャリア総合研究所代表で、キャリアコンサルタントの上田晶美さんと、パートの人材派遣会社『ビー・スタイル』(東京都新宿区)しゅふJOB総研所長の川上敬太郎さんが教えてくれた。
【“103万円の壁”を乗り越えよう!】
現在は、夫の扶養の範囲内で働く人が多い。しかし’16年10月からは、パートの厚生年金と健康保険の加入条件が変わる。現行、労働時間週30時間以上(正社員の4分の3以上)、年収130万円以上のところ、週20時間以上(雇用期間1年以上)、年収106万円以上の人は、厚生年金・健康保険への加入が義務づけられるようになる。
「アベノミクス効果で、平均募集時給も上がっています。これから消費税増税、社会保険料の負担増とお金がかかりますので、所得税の扶養控除“103万円の壁”を越えて働こうという主婦の声をよく聞きます」(川上さん)
【“子育て経験”を逆手に取ろう!】
「子育ての期間は一概に“ブランク”とは言い切れません。その間、町内会の会計を任されていたのなら『子育てをしながら、エクセルで町内会の会計簿を作成した』と書くのもよいと思います。主婦は、町内会をはじめ、義理の親や兄弟、ママ友など、世代を超えて多くの人と接する機会があります。『コミュニケーション能力に長けている』ことも、主婦ならではのスキルです」(川上さん)
【夫には少しずつ家事の“協力態勢”を仰ごう!】
「夫だって、いきなり『家事を手伝ってほしい』と言うと、機嫌を損なうかもしれません。無理のない範囲で働いて、家事もきちんとこなすことで、夫も少しずつ『妻は働くのが当たり前』と思うようになってきます。そうなったとき、家事の分担をもちかけてみるのも手です」(上田さん)
【子供の急なトラブルは“段取り”で乗り切ろう!】
「母親という立場上、子供のことで仕事を休まなければならないことを前提として考えましょう。いつ急に休んでも、仕事が中断しなくてすむように“段取り”をしておきましょう。たとえば情報は周囲のスタッフと共有し、ふだんから協力態勢を築いておけば、突然の休みにも会社は対応できます」(上田さん)
【久しぶりの仕事では“初心”を大事にしよう!】
「自宅で、パソコンを使ってインターネットのウェブ検索や、メールのやりとりをしていれば、ワードやエクセルに不慣れな人でも、習得することは十分に可能だと思います。会社によって、システムの入力方法などは違うので、“一から学びたい”という姿勢が大事です。ほかの従業員とうまくやっていこうとする心構えのほうが、重要視されます」(川上さん)
【狙い目は“お・も・て・な・し”系】
東京オリンピックを見据え、上田さんは、飲食、観光業に注目。なかでも『新規開店や規模を拡大するホテルが狙い目』という。
「客室係だけでなく、朝食バイキングの配膳係や館内の案内係などは、外国人観光客が増えることで需要があります。もし外国語ができるのであれば、外国人向けの家電量販店や免税店、ブランド買い取り、中古販売の店に勤めることもできます」