原田知世(46)が主演するNHK「ドラマ10」の『紙の月』(火曜夜10時〜全5回)に、アラ40〜50女性が大注目している。視聴率は初回6.5%から21日放送の第3回は8%に急上昇。世の女性の心に響く秘密はどこにあるのか?
第25回柴田錬三郎賞受賞・角田光代原作の同ドラマ。物語は、子供ができず夫と2人暮らしの主婦・梨花がパートとして銀行で働きはじめ、独居老人たちから信頼される。映画青年の光太(満島真之介)から「あなたは素敵です」と言われ、「彼を救いたい」と他人のお金に手をつけてしまい人生が変わりはじめ……。
「昔から原田知世さんが好き。透明な感じがする。満たされない渇いた心の主婦が、年下男性と出会い“女”になる演技に引き込まれます。純粋さがあるからこそ、悲しみと痛みを感じる。犯罪って案外身近なのかもしれない」(46歳)
同ドラマの演出を担当した黛りんたろうさんは、「梨花は聖なる堕天使」と語る。
「お金という“現代の神”を巡る渦に翻弄される、梨花と同世代の女性3人。ドラマは現代のアラ40女性の内面をえぐりだすだけではなく、聖なるものからかけ離れてしまった現代人が抱える空虚感、欠乏感を描き、そこからの復活の方法を探っています」
『紙の月』だけではなく、大人が楽しめるドラマが減ったなか、リアルな女が描かれていて断然おもしろいと、NHKの火曜夜10時「ドラマ10」を楽しみにする女性は多い。同枠はこれまでも、『八日目の蝉』『セカンドバージン』と、不倫、DV、シングルマザーの雇用不安など、現代女性の抱える問題をテーマにドラマを描いてきた。
壇れいがドラマ初主演した『八日目の蝉』。「とにかく涙なしには見られない。不倫、誘拐、逃亡……親とのつながり、母性、命のつながりについて考えさせられた。何度も見返しては涙しています」(38歳)
『セカンドバージン』は鈴木京香と長谷川博己のラブシーンが評判を呼んだ。「ひとりで、しかもNHKでベッドシーンを見られるなんて。極上のラブストーリーで、私は永遠に長谷川&セカバファンを続けます」(51歳)
沢口靖子が夫のDVから逃れ、懸命に自立していく姿を描いた『シングルマザーズ』。「同じ境遇の仲間とともに支えあう主人公は、私そのものだと共感して見ていました。離婚した自分を、このドラマが承認してくれたような気がします」(42歳)
井川遥初主演の『ガラスの家』では、井川の美しさに感嘆の声をあげる女性が多い。「斎藤工君の笑顔とセクシーさにヤラれました。私が忘れかけていた“恋する女”を堪能しました。子育ても一段落した私たち世代が、夢に浸れる時間が必要なんです。このドラマがそれを満たしてくれた」(46歳)
「ドラマ10は本当に質の高いドラマが多い」と高く評価するのは、ドラマ評論家の木村隆志さん。
「今は演出中心のエンタ系がドラマ界の中心ですが、ドラマ10は名作小説を原作にした『小説ドラマ』が多い。また、女性の目線で女性に寄り添ってつくられています。『紙の月』も“1億円横領”とタイトルはキャッチーですが、中身はたんたんとアラ40女性の日常を丁寧に切り取り、人の心の襞を丁寧に描いています」
渇ききったオンナの心という大地に降り注ぐ慈雨。それが火10の魅力なのかもしれない。