人間と同じように、愛犬も長生きすると体のトラブルが増えていくもの。目の衰えや背骨の痛み、がんにもかかります。大事なワンちゃんの健康は何としても守りたい。そこで、高度な動物医療を行えるスペシャリストとして獣医学部を持つ大学に所属する、日本最高峰の獣医師5人が、“愛犬の健康を守る”ワンポイントアドバイスをしてくれました。
日本大学・生物資源科学部動物病院【外科(腫瘍)】浅野和之先生
「実は飼い主さんこそが、それぞれの愛犬のスペシャリストなんです。ですから、日ごろ一緒に暮らすなかで愛犬をしっかり観察し、気になる点があったときはかかりつけの獣医さんに相談しましょう。犬はライフスパンが短く、人の5〜8倍のスピードで腫瘍が進行するといわれています。必要以上に神経質になることはありませんが、それでも『?』と思ったら、動物病院へ」
麻布大学・附属動物病院【眼科】印牧信行先生
「散歩の際、飼い主さんの左右どちらかをワンちゃんが歩くとき、その一方でだけ飼い主さんの足にぶつかる……。こんなケースが見受けられたら要注意です。片方の目にトラブルを抱えている可能性が。そのほか、階段の上り下りが上手くできない、近くに差し出され興味を示した物を的確にくわえられない、などのケースも目の病を疑っていいでしょう」
宮崎大学・農学部附属動物病院【外科(腹腔鏡)】鳥巣至道先生
「『うちの子、肝臓の数値が下がらない』『なんか元気がない』などの相談を受けたとき、私はフードのことを必ず聞きます。多くの飼い主さんが、何カ月も前に開封した徳用サイズのドライフードを与え続けている。考えてみてください。あなたは3カ月前に開けたポテトチップ、食べられますか?ウチの犬の場合は個別包装の新鮮なフードを与えるようにしています」
大阪府立大学・獣医臨床センター【軟部外科・脊椎外科】秋吉秀保先生
「椎間板ヘルニアは最初、痛みを伴います。抱き上げたときに『キャンッ』と痛がって鳴く、その後、背中を丸めるようにする、といった兆候がみられたら獣医の診断を受けましょう。私の実感としては、椎間板ヘルニアを患うワンちゃんは総じて若干メタボ系。ほかの疾患の予防にもなりますから、肥満には注意してあげましょう」
日本獣医生命科学大学・付属動物医療センター【行動学】入交眞巳先生
「もし、お宅のワンちゃんに攻撃行動が見られても、叱らないようにしてください。かつては飼い主は『犬にバカにされないように叱ったり、たたいてしつけましょう』などと教えられることもありましたが、それはウソです。ほとんどの場合、犬は不安を感じていて、その恐怖から攻撃してくるのです。対応に困ったら、まず獣医師に相談を」