「今ではLINEやFacebookなどのSNSが日常的なツールになっていて、他者からの評価がついてまわる時代です。周囲の評価を気にするなというのは無理な話。そのようななかで、『信頼されて、まわりからの評価を上げる』ため、意識的に心がけておくべきことがあります」
そう話すのは、NHKで報道番組のキャスターを17年務め、現在はスピーチコンサルタントとして活躍する矢野香さん。NHKのキャスターという、常に見られる立場の職業での経験と、心理学を踏まえてコミュニケーション術を体系化した彼女の著書はベストセラーになっている。また、矢野さんのアドバイスで人生を大きく変えたエグゼクティブも数多い。そんな矢野さんに、NHK式を取り入れた“印象美人”になるためのポイントを挙げてもらった。
〇自分の「第0印象」を大切にしよう!
「第一印象がすべて、というのは昔の話。今はそれでは遅すぎます。初対面の場より前に、知人を介して噂話をされている場面、さらにはネット上の情報から、他人の評価は始まっています。それを『第0印象』と私は呼んでいます」
SNSのアイコンを、特に注意もせず適当なものにしていませんか?
「第0印象から信頼を勝ち得るには、写真の選び方、情報の出し方に注意が必要です。第三者の目に入る写真や文章を、前述のキャラ設定に合うものに整えてください。この時点でポジティブなイメージをもってもらえていれば、第一印象を与えるシーンで大いに有利になります」
〇日常生活も「スピーチの場」と意識しよう!
「実は、日常生活はスピーチの連続なのです。たとえばママ友から、『なぜそれを持っているの?』『その色が好きなの?』と質問されたら、どう答えるでしょう?『なんとなく好きだから』では不十分です。大切なのは『なぜ好きか』の、こだわりやストーリーがあること。それをサッと話せるように準備しておきましょう。
『ありがとう、実は……』と続けば、会話も盛り上がるし、自分のイメージを相手に印象付けることができます」
ふとした雑談こそ、コミュニケーションの本番だと矢野さんは強調する。
〇あいさつは、言葉より礼より「まず表情」!
「信頼される人は、言葉で会話をする前に、まず表情で感情を現す『非言語テクニック』を用いています。テレビのグルメレポーターを思い浮かべてみてください。『おいしい』と発する前に、一瞬『お』の息を飲みこんでいるんです。言葉よりも表情の方が、視覚に残り、伝わるものが大きい。挨拶する瞬間、息をのみこんで、その感情を浮かべましょう」
〇「3つの笑顔を」を使い分けよう!
「笑顔には、大・中・小と3つのサイズがあり、それぞれ見えている“上の歯の数”が違います。大は明るく元気なキャラ。8本の歯を見せます。中は女性らしい、おしとやかなキャラで、4本の歯を。小は、余裕の笑みや、話を聞いているとき、はにかみ笑いで、歯はみせません。キャラによって使い分けましょう。このとき、下の歯がみえると下品になるのでご注意を!」
ちょっとした心がけでガラリと変わる自分の印象――。今日からあなたも印象美人を目指してみて!