厚生労働省は10月6日、コンビニエンスストアやスーパーで売っている弁当などについて、一食あたりの栄養素を満たせば「健康な食事」であることを示す専用のマークをつけられる制度を、’15年から始めることを発表した。今後はこの「健康マーク」が、コンビニで食品を選ぶ目安になりそうだ。

 

いまや、想像以上に豊富な食材が並ぶコンビニ。じつはこれを上手に利用し、食べ方を工夫することで、手軽に健康を手に入れることができるという。本誌連載でもおなじみ、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生は『コンビニへ「健康」を買いに行こう!』(主婦の友社)の著書もあり、自身も朝食や昼食にコンビニをよく利用する1人。

 

「コンビニ食は栄養面が心配という人もいるでしょう。でも、朝食を抜いたり、お菓子ですませてしまったりすることを思えば、コンビニを利用して、きちんと3食、食事をするほうが、ずっと賢い選択だと言えます」(小林先生)

 

大切なのは、コンビニ食を漫然と食べるのではなく、利用法を「意識」することだそう。コンビニ食で健康になる秘訣を小林先生に聞いた。まずコンビニといえば、その名のとおり圧倒的な利便性が魅力。時間がないという人でも、1日3食をキープするため、非常に頼りになる存在だ。

 

「私たちの心や体のコンディションを整えているのは、自律神経のバランスです。自律神経は、緊張や興奮をつかさどる交感神経と、リラックスをもたらす副交感神経から成っていて、呼吸や血管、内臓の働きをコントロールしています。そして、そのバランスを整えるのが、1日3食という食習慣なのです」(小林先生・以下同)

 

自律神経のバランスは、昼は活動的な交感神経が優位になり、夜は休息モードの副交感神経が優位になり……と、一日の時間の流れに沿って変動する。この切り替えがスムーズにできるかどうかが、健康のカギ。

 

「そのため、規則正しい生活習慣が重要になってきます。なかでも食事は、自律神経と密接に関わっている『腸』に直接、刺激を加える大事なイベント。食事をすると、いったんは交感神経が優位になりますが、その後、副交感神経が優位になり、消化や吸収を促します。この変動を1日3回、規則正しく起こすことで、自律神経のリズムが整います」

 

とくに現代人は、つねに交感神経が暴走ぎみ。食事を抜けば、さらに交感神経優位に拍車をかけ、自律神経のバランスが崩壊。ひいては体調を崩すもとにもなりかねない。また、食事の内容にも気を配りたい。どうしても選びがちなのが、おにぎりやパン、カップ麺など炭水化物に偏ったメニュー。そんなとき、サイドディッシュとしてオススメなのが、最近、レパートリーが充実しているレトルト惣菜だ。

 

「たとえば、きんぴらやひじきの煮物などは、食物繊維が豊富。腸内環境を整えるので、自律神経のバランス改善に効果的です。おみそ汁などの発酵食品も腸内環境の改善につながります。温かい汁物は胃腸の血流をよくし、副交感神経の働きを高める効果も」

 

さらに、これからの季節にオススメなのがコンビニ食の代表格、おでん。

 

「だいこんやこんにゃくは、食物繊維も豊富で低カロリーな優秀食材。しかも温かい汁をたっぷり含んでいるので、おなかも温まり、なおかつ食べごたえがあるのも魅力です。ビタミンC以外、ほぼすべての栄養素が入っている『完全栄養食』の卵も、ぜひ加えてはいかがでしょう」

 

コンビニ食も、工夫次第で健康食に! 

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