「2月16日から、確定申告の受付けが始まります。確定申告は、おもに自営業者や経営者が所得と納税額を申告するものですが、会社にお勤めの方も、申告すれば税金の一部が戻ってくる場合があります」
そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。消費税増税や円安による物価高などの影響で、家計は火の車という人も多いのでは?そこで荻原さんが、今年とくに注目したほうがいい控除項目を解説。
【雑損控除】
自然災害や火災、盗難などによって、生活に必要な住宅、家具、衣類などに被害を受けた人が対象の控除。
「昨年は、震災、豪雨や台風、竜巻による風水害や土砂災害、雪や雷による被害、御嶽山や桜島などの噴火被害など、自然災害が多発しました。これらの被害を受けた方は大変な思いとともに、経済的損失も大きかったでしょう。損害額から支払われた保険金を差し引いた額が控除されます。また、自然災害以外でも火事や盗難、横領、シロアリなどの虫害も対象ですが、オレオレ詐欺など詐欺被害は含まれません」
【住宅ローン控除】
住宅ローンを使って、自分の住む家を購入した人が対象の控除。
「会社員の場合は、購入した年、1度だけ確定申告が必要です。昨年は、消費税増税の前後で控除の限度額が違いますから、注意してください」
【医療費控除】
一般に、家族全員の治療費を合算して10万円を超える人は控除の対象となる。
「病院に払った治療費のほか、市販の薬代、通院のための交通費、介護保険の自己負担分、子どもの歯科矯正費用なども合算できます。医療費控除の申請書作成は、少し手間ですが簡単です。消費税増税の一部を取り戻すつもりで、作業してください」
【寄付金控除】
ふるさと納税が注目され、寄付した人も多いのでは?しかし、確定申告を忘れると全額自己負担となってしまう。
「寄付金の受領証明書があれば、申告は簡単ですから忘れずに行ってください」
ほかにも、NISA口座ではない株式の売買で損失が出た人や、退職し年金生活を始めた人など、確定申告が必要な場合やしたほうがいい場合がある。判断に迷うときは、各地の申告会場にいる税理士や国税庁の電話相談などを利用しよう。
「会社員など納めた税金を戻してもらう還付の申請は、確定申告の期間を過ぎても5年間は有効です。落ち着いて取り組んでください」