3月8日に逝去された塩月弥栄子さん(享年96)。その著書『冠婚葬祭入門』シリーズは、’70年に初版が刊行され、合計で700万部を超える大ベストセラーに。昭和の時代の「しきたりやお作法のバイブル」は、平成のいまもなお、確実に私たちの「?」に答えてくれる。そのエッセンスを抽出して、お届けしたい。

 

《冠》とは?

冠という言葉の本来の意味は元服、今でいう成人式のこと。子どもが親の保護を離れ、一人前の人間として社会に出ることを宣言する儀式でした。妊娠から子どもが一人前に育つまでの間には、成長を祝う行事、進学や就職のための社会との接触など、親として知らなければならないことがたくさんあります。

 

【1】赤ちゃんには、生後7日目に名前をつける

命名の儀式の日取りは、地方によってまちまちですが、一般にはお七夜の7日目がふつうです。名前というのは、1度つけたら一生変えることはできませんから、十分考えてつけてあげたいものです。親の好みだけでつけるべきではありません。

 

【2】へその緒は、命名書とともに神棚か仏壇に保存する

へその緒は、一種の護符と考えられ、本人の危急の際に飲ませると、1度は命をとりとめるといわれます。

 

【3】出産通知は、年賀状でするのがよい

待ちわびている肉親にはすぐに、親戚や親しい友人などへは2、3週のうちに。それ以外の友人・知人へは、わざわざ知らせてはお祝いの言葉を催促するようで失礼です。

 

【4】入園、入学祝いのお返しは、しなくてもよい

お祝いは、親しい間柄なら、お子さんのお母さまにお聞きして、すでに用意したものとかちあわぬよう、通園、通学に必要なものを贈るのがいちばんです。

 

【5】小・中学校の卒業祝いは、入学祝いと兼ねる

家庭でのお祝いは、卒業と入学を兼ねてすればいいでしょう。七五三は幼児期の節、少年少女期の節が、小・中学校の卒業と入学です。それぞれの節ごとにお祝いをして、子どもの成長に感謝し、本人に自覚を持たせることは意義のあることです。よそのお子さんへのお祝いは、学用品、万年筆、時計、書籍、服飾品などを。

 

【6】親は、成人式を迎える娘に晴れ着を贈って祝ってやる

ちゃんとした外出着を作ってもいいときです。安物の振り袖より、しっかりした訪問着や無地などのほうが、あとあとにも役に立ちます。

 

【7】成人式の晴れ着にショールはいらない

買うときにセットになっているためでしょうか、フワフワしたショールがつきもののようです。せっかくの晴れ着の衿元や衿あしの愛らしさを隠してしまいます。なんとなく、みんながしているから、などというのは正にナンセンスです。

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