「全校児童70人という狭い地域の小学校の、さらにもっと狭いSNSの世界で『ママ友いじめ』がエスカレート。2人の母親が自殺するという、最悪の事態になりました」(地元紙記者)
今年4月、栃木県佐野市の小学校で、児童の母2人が1週間の間に相次いで自殺した事件は、世間に衝撃を与えた。背景には、無料通信アプリLINEを使った「ママ友いじめ」があったようだ。都内在住の30代女性は言う。
「女子中学生や女子高生の間でLINEいじめが問題になっていますが、母親世代であっても、女の世界は同じ。『自慢』や『上から目線』ととられるメッセージが命取りになることもあるので気を使います」
ママ友のコミュニケーションに詳しい東海学園大学の武市久美准教授に聞いてみた。
「本来、人と人との交友関係は、親友、旧友、仕事上の付き合いの人、挨拶を交わす程度の顔見知りと、その関係には濃淡があります。ママ友でも、現実には相手によってその関係の濃度や質が異なります。しかしSNSにおいては『つながっている』ことで、ママ友関係の距離が均一化してしまいます。それがトラブルにつながるのです」
それならば、どうすれば「ママ友いじめ」トラブルを避けられるのだろうか。『ママ友のサダメ。』(ぶんか社)の著者、漫画家の又野尚さんは言う。
「LINEは気軽な会話を楽しむもの。嫌われるママは、自己主張が強い人が多い。自分の思いをぶつけるような長文は書かないほうがいいでしょう。3行以内で」
そして、武市先生が言うのは、3回位見直すこと。
「相手の表情が見えない、文字だけのやりとりは、1つの言葉も受け手によってまったく違った意味に取られる可能性も。常に自分自身の言葉遣いを振り返って見ることが大切です」
そう、ママ友LINEは、3行以上書かずに、3回見直す、この3・3ルールを忘れずに!さらに、又野さんはこんなアドバイスをくれた。
「選挙が近くなると活動的になるママは敬遠されます。政治問題や思想信条などの発言はなるべく控えたほうがいいようです。また、夫の学歴や職業などプライベートな発言や書き込みは、ねたみや嫉妬の対象になることも。東大出身の夫をもつママはそれを知っているから職業や学歴を言うことを嫌います。そんな用心深さが大切です」
ママ友は子供同士のトラブルにつながることもある。より慎重な付き合い方が求められているのだ。