「川崎市や大阪・寝屋川市で起きた子どもが被害者になる殺人事件は、スマホが温床になっていることがほとんどです。スマホは親が買い与えたものなのだから、家庭で管理するのが当然です。家庭が円満で、みんなで集まってしゃべったりするほうが楽しければ、子どもがスマホ依存にはならないですよね」
こう語るのは、“尾木ママ”こと、教育評論家の尾木直樹さん(68)。子どもをスマホ依存から守るために、親が知っておきたい7つのことを教えてもらった。
〈1〉全高校生の約60%が“ネット依存”!
女子高生のスマホの平均使用時間は1日7時間。全高校生の60%がネット依存で、9.2%が治療、入院が必要とされている。小学1年生も約27%がスマホを持っているという。「若いときに持てば持つほど、依存症は早まりますし、深刻になります」
〈2〉スマホは“いじめの温床”!
今の子どもたちはケータイの中のバーチャルな世界がリアルな世界と同格になっている。生活の重要な空間でもあり、時間でもあるそう。「今はLINEを介さないいじめはほとんどない。グループから逸脱しないよう四六時中ケータイを見て反応しないといけないんです」
〈3〉“夜の徘徊”が怖くなくなってしまう!
LINEのグループトークをしていれば、仲間とつながっていると思い、1人でも怖くないと思う子どもが多い。「子どもが夜に出ていっても、連絡がつくから親も心配していない。でも、ケータイは身を守る道具ではないんです。取り上げられたら何の役にも立ちません」
〈4〉LINEは“年齢差”をなくしてしまう!
友達ではない人とも、LINEでは容易につながってしまう。「LINEで日常的に会話していると、年齢差が見えなくなりがちです。年齢をごまかすのも簡単。悪知恵のある犯罪のプロとつながってしまい狙われたら、普通の子どもは引っかかってしまいます」
〈5〉スマホの“所有権・管理権”は親にある!
義務教育の子どものスマホは親が買って使用料金を払っているのだから、それは親の所有物。「スマホもLINEも悪いのではなく、使い方が重要です。スマホを子どもに与えっぱなしにしないで、ハッキリと『貸してあげているだけだ』と言わなければなりません」
〈6〉“夜9時以降”はスマホを使わせない!
親がするべきことは、スマホ使用のルールを子どもに守らせること。「夜の9時以降は使わない、充電するのはリビングでだけ、自分の部屋に持ち込ませない、違反したら1週間没収などのルールを作って、親が責任を持たせないとダメ。それは当然のことなんです」
〈7〉依存症になるのは“親が嫌いな子”!
ネット依存の子どもの違いを調べたことがある尾木ママ。「『家庭があまり好きではない』と答えた子ほど依存傾向が強かったんです。逆に言えば、親とうまくいっていない子は依存症になりやすい。家庭に居場所がないから、バーチャルな世界に入っちゃうんです」
尾木ママは言う。「スマホの使い方などリテラシー教育はもちろん重要ですが、子どもにとって居心地がいい家庭が何よりも大切なんだと思います」