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「先日、埼玉県に『今住んでいる公営住宅に、’17年3月以降も住み続けられますか?』と問い合わせたら、『決めるのは福島県なので何とも言えません』と言われて。福島県に問い合わせたら、被災者支援課の職員に『公営住宅は埼玉県の持ち物です。私たち(福島県)がどうこう言えるわけじゃないですから』とたらい回しにされた挙げ句、一方的に話を打ち切られてしまいました」

 

こう語るのは、いわき市から、8歳と10歳の子供を連れ、埼玉県に自主避難(区域外避難)している河合加緒理さん(33)。

 

政府は原発事故以降、国から避難指示が出ていない地域の福島県民に対しても、災害救助法に基づき、公営住宅やアパートなどを「みなし仮設住宅」として無償で提供してきた。しかし今年6月、政府と福島県は、自主避難者に対する住宅の無償支援を’17年3月で打ち切ると発表したのだ。

 

「私たち自主避難者にとって、住宅支援は命綱。これが打ち切られたら、子供を抱えて、どうやって生活していけばいいのか。私みたいな自主避難者は、全国にたくさんいます」(河合さん)

 

自主避難者は、国から避難指示が出ている避難者と異なり、東電から月々の補償は一切支払われていないため、住宅支援だけが頼りだ。

 

全国の自主避難者からも住宅支援の打ち切りに対して、続々と抗議の声が上がるなか、8月25日、政府は避難指示が出ていない地域の被災者を支援するための法律「子ども被災者支援法」の基本方針を改定。「(放射線量は十分に下がったので)避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況ではない」という文言を盛り込んで、これを閣議決定した。

 

福島県は8月末、県外に避難している自主避難者が福島県内に戻るときだけ引越し費用を負担するなど、支援策とも呼べない施策の一部を打ち出した。生活困窮者への家賃補助なども検討しているが、詳細が決まるのは12月。

 

原発避難者が抱える問題に詳しい大阪市立大学の除本理史(よけもとまさふみ)教授は、こうした状況を、次のように懸念する。

 

「避難先での生活を支援する施策が乏しく、帰還ばかりに重点がおかれる現在のやり方には、問題があります。政府や東電も、原発事故収束までに30年程度を要すると見ているわけですから、避難者の生活再建に関しても、それくらいのスパンを持って考える必要があります」

 

自主避難者の生活を不安定にしているのは、ほかならぬ政府や福島県なのだ。