年中無休のコンビニエンスストア。いつでも必要なときに欲しいものが手に入るのは便利だが、気になるのは、お店から出る食品ロスだ。
「たしかに、販売期限の過ぎたお弁当や総菜を回収していると、よくそういった点を指摘されることもあります。しかしじつは、食のリサイクルについて、コンビニはかなり力をいれているんです」
そう語るのは、ローソン環境・社会共生の吉江秀哉さん。ローソンの店舗から出る、1日当たりの廃棄物のうち、弁当やパンなどの売れ残りを含む食品は約10キロ。それを、飼料や肥料などにリサイクルしているという。
「4年前から千葉県を中心に、リサイクル飼料を活用し、ローソンオリジナル卵の販売を始めました。都内や千葉県内など、約420店舗から出た食品ロスをリサイクル工場で再生し、それを飼料の一部として鶏を飼育しています。その鶏が産んだ卵です」
今回、吉江さんにローソンの飼料リサイクル工場を案内してもらった。向かったのは、千葉県市川市にある「農業技術マーケティング」。ここで、集められた食品ロスが「エコフィード」と呼ばれる飼料に生まれ変わるそう。
「1日に集まる量は、約40トン。月間に作られる再生飼料は750トンほどになります。入ってくる食べ物は多岐にわたるため、炭水化物系、タンパク質系、野菜類というように、まず手作業で種類を分けていきます」
そう説明してくれたのは、農業技術マーケティング代表取締役の伊藤秀幸さん。仕分けされた食材は、ベルトコンベヤーに乗せられ、「袋破機」と呼ばれる機械に入れられる。この機械に入れると、包装されたままになっている弁当やラップのかかった総菜が、自動的に飼料の原料と容器に分別される。
さらに原料は、工場の奥に張り巡らされた、パイプ状の乾燥機にかけられ、約2時間かけて水分を飛ばす。滅菌・乾燥してできた粒状の物質を、最後にふるい機にかけて、微細な異物を排除したらできあがりだ。機械の出口から、さらさらと乾燥した飼料が出てくる。見た目は、まるできな粉のよう。
「短時間で乾燥できる機械を使っているので、2時間半ほどでエコフィードになります」(伊藤さん)
ここで作られた飼料は、千葉県君津市の養鶏場へ。そこで鶏の飼料に配合され、さらにその鶏が産んだ卵が、千葉県や茨城県内のローソンのお店に並ぶ、というわけだ。
「食品リサイクルにもさまざまな方法がありますが、環境省がいちばん推奨しているのは飼料化です。食品の成分やカロリーを有効に活用して、動物の口に戻しましょうという理由からです」(伊藤さん)