「落語会は日本全国で月に約900公演もあるんです。これだけあったら、初心者はどこに行けばいいのかわからないですよね。そんな人に向けて、この『渋谷らくご』、通称シブラクは“初心者でも安心して楽しめる”というコンセプトでやっています」
そう語るのは、シブラクの企画・構成を担当するキュレーター、サンキュータツオ氏。シブラクは’14年11月にスタートし、毎月第2金曜から5日間、渋谷・円山町のユーロスペース内にあるユーロライブで開催されている。
「現在、落語家は過去最多なのに、観客のほうは一定数の落語マニアがいろいろな落語会を回っているだけ。そこで、新たなお客さんを獲得するために、ツイッターなどネットを多用する人たちへ情報発信することにしたんです」
シブラクは春風亭一之輔師匠(38)を核にした若手落語家中心の落語会だ。落語協会、落語芸術協会、落語立川流などの団体の垣根もなく、講談師・浪曲師も含め、さまざまな噺家が登場する。落語は日本語がわかれば、老若男女誰でも楽しめる。話を聞いて、想像する“脳の心地よいストレッチ”だとタツオさんは言うが−−。
「小説やラジオが好きな方は落語と親和性が高いですよ。『女性自身』の読者の方もきっと落語を好きになれます。50歳から聴き始めても、30年以上は楽しめますから」
シブラクでは当日券を最低でも約30席分確保している。思い立ったら、ふらりと立ち寄ってみるのもオススメだ。タツオさんのレクチャーを聞いて、落語初心者の本誌記者(34)がシブラクを初体験!
渋谷駅を出て道玄坂を上り、ラブホテルや若者が集まるクラブなどの密集地を抜けたところに、ユーロライブが入っているビルはある。「本当にこんなところで落語会をやってるの……!?」と、のっけから正直ビックリ。
開演1時間前には受付に到着。仕事帰り風の女性や、制服を着た女子高生など、すでに5人の女性が当日券を求めて並んでいた。当日券は大人2,500円(前売り券は2,300円)だ。
19時半に開場し、会場に入ると、ステージ上には真っ赤な毛氈の高座がセッティングされている。開演までの30分間に、ちょっと腹ごしらえ。飲食自由だが、会場では売っていないため、あらかじめ用意しておこう。アルコールもOKなので、仕事帰りのビールで疲れをとるのもイイ!
この日のシブラクはひとり30分の持ち時間で4人が出演。二ツ目の瀧川鯉八、柳家ろべえに続き、3人目に講談師の神田松之丞が登場すると、講談に必須の釈台(小さな机)が出ていない。「なんでないんだよぉー!」と即興でネタにして会場の爆笑をさらったあと、“しゅうまい”と名付けられた息子と父親のやりとりがバカバカしい『しゅうまい』という新作ネタで、抱腹絶倒。「くだらないけど、面白すぎる……!」。トリは大御所の立川左談次師匠のじっくり聞かせる古典落語『妾馬』で、あっという間の約2時間が終了。
何の知識もない落語初心者でも、大いに楽しめました!シブラク、超オススメです!!