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「世界的に見ても、日本の男性の家事・育児への関わり方は惨憺たるものです」

 

そう語るのは、少子化ジャーナリストの白河桃子さん。現在、安倍政権下では「女性が輝く社会」が声高に叫ばれている。厚生労働省による「イクメンプロジェクト」(’10年)や、「女性活躍推進法」の閣議決定(’15年)もあり、一見、女性が結婚・出産後も家に縛られることなく、仕事、ひいては人生を謳歌できる態勢が整ったかのようだ。しかし、現実はさにあらず。

 

「確かに、女性が働くことについてはなんの言い訳もいらなくなりました。少子高齢化による労働力不足がその理由です。でも、女性が働くためには、パートナーである男性の働き方や暮らし方も変える必要があるんですよね。残念ながら現状ではそこまで思いいたらない人が多い。まだまだ“人ごと”のように思っている男性が少なくないんです(苦笑)」

 

確かに働きやすくはなったものの、現役世代の女性たちは、「家のことはあなたが完璧にやってね」というプレッシャーから、ちっとも解放されていないのだ。労働力としてアテにされながら、家事を丸投げされ続けていたら、女性たちは「活躍」どころか、早晩ボロボロになってしまう。

 

そうならないためには、何はさておきパートナーの意識改革が必要だ。単刀直入に言えば、これからの時代に必要なのは、妻とともに家事をする夫=「カジ夫」なのだ。では、夫が「カジ夫」になると、具体的にどのようなメリットがあるのだろう?まず挙げられるのは、家庭の基盤となる夫婦のパートナーシップの向上。夫が家庭を顧みることは、「稼ぐ」以上に夫婦の絆を強めるという。その結果は、出産にも影響している。

 

「男性の育児参加が少ない国は、国際的に見ても少子化が顕著。日本同様、男性の家事時間が短いイタリアも、やはり少子化問題を抱えています」

 

「カジ夫」は何も共働きの現役世代に限ったことではない。「男は仕事、女は家庭」という「昭和型」の夫婦生活を長年送ってきた家庭であっても、夫の家事参加は欠かせない。超高齢社会を迎え、“老老介護”も珍しくなくなった現在では、夫婦がともに家事をこなせなければ、妻に何かあったときに乗り切れなくなるからだ。

 

「家事が何もできない夫だったら、きっとその人に“殺され”てしまうでしょうね。家事の習慣がない夫は、何をしていいかもわからないでしょうし、そもそもそういう人は周囲に『助けて』と言うこともできない。それで、悩んだ揚げ句に孤立して……」

 

団塊世代が後期高齢者に突入していくこれから、男性の家事参加は切実な問題だ。

 

「もちろん、制度改正も必要です。育休の取得率ひとつとっても、民間企業で2%程度と非常に低い。法的に労働時間の規制も必要でしょう。まずは“男性中心の働き方”を変えないと、男性も家事に参加できないので、そこは働き方改革実現会議でも発信しています」

 

ただ、家庭内でできる改革もきっとあるはず。

 

「男性も、女性が思う以上に『俺が稼がないと』という重荷を抱えています。お互いにそうした荷物を少しずつ下ろし合えば、もっと楽になれるのではないでしょうか」

 

この先も人生をよりよく生きるため、夫の「カジ夫」化にトライしてみてはいかがだろう。

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