東京に訪れる外国人観光客に人気のスポットといえば浅草・上野・秋葉原などが挙がる。ただ、最近は新宿ゴールデン街の人気も急上昇しているのはご存知だろうか?
ゴールデン街は、新宿歌歌舞伎町の外れに位置する約3万平方メートルの区画であり、その区画に約300店舗のスナックやバーが軒を連ねる新宿きっての超過密エリア。特に高度成長期からバブルにかけては文化人や各メディア関係者がこぞってこの地域に集まることで知られるように。この地域に複数あった「文壇バー」と呼ばれるバーでは夜な夜な日本を代表する文化人たちが集まり、文学論に花を咲かせたという話もある。
眠らない街・歌舞伎町の近くということもあって一見華やかな時代が続いているように見えるゴールデン街だが、意外にも一時期陰りを見せたこともあったそうだ。実はこの地域はバブル崩壊後に発生した不景気の影響を最も強く受けた地域でもあり、客足が遠いたことによってゴーストタウン化。一時は再開発の計画が持ち上がったこともある。
こうした状況の中でのゴールデン街の復活の契機は、バブル後にも根強くこの街にのこった商店主たちが始めた各種公共インフラの再整備。木造店舗が密集するこの地域では前時代的なインフラがそのままになっており、お店の新規参入を促すには不便な地域となっていたとのこと。またインフラの整備を進めるいっぽうで、終戦直後から地域に長らく残されてきた昭和の香りを持つ木造長屋形式の「レトロな街並み」に改めて観光資源としての注目が集まった。現在のゴールデン街は日が傾き始めたころから、観光客で溢れるほどの盛り上がりを見せている。
『「夜遊び」の経済学』(木曽崇著・光文社新書)によると、冒頭にも挙げたように特に目立つのは日本を訪れる外国人観光客の存在だという。この地域を訪れる観光客のうち6~7割が外国人ということもあるそうだ。日本の古い街並みを求める外国人観光客はこの地域に集まり、夕暮れから夜半にかけてゴールデン街での街歩きを楽しんでいる。2009年には「ミシュラン日本版観光ガイド」において、観光地として2つ星の評価も獲得した。
現在、世界で注目をあつめている「ナイトタイムエコノミー」振興の成功例としても評価され、勢いの止まらない新宿ゴールデン街。ふらっと一杯、訪れてみてはいかがだろうか。