「“生涯現役社会”といわれるいま。50代の女性にも、仕事や人生のクオリティを上げるアイテムとして『資格』が注目されています。人気を集めているのは受験の際、実務経験や学歴、年齢などの条件がなく気軽に挑戦できるもの。そして家族を介護するうえで役立つ『認知症介助士』や、食を扱う『薬膳コーディネーター』や『食生活アドバイザー』など、生活に直結したものに関心が高まっていますね」
そう語るのは、資格講座などの通信教育を手がけるユーキャンのDMマーケティング部・富田恵美さん。資格といえば、“キャリアアップ”や“昇給”のために取得するもの、と考えている人が多いだろう。
しかし最近は、手軽に取得できるうえ、その後の人生を豊かにしてくれる資格が増えているのだ。そこで、50代女性に人気の役に立つ資格を紹介。
【食生活アドバイザー】ここで役立つ:飲食店、食品会社
「栄養」「食文化と習慣」「食品学」などから食生活を総合的にとらえ、健康的な生活をおくるための提案ができる“食のスペシャリスト”と認められる。食品メーカーや飲食店、スーパーやデパート以外にも、病院、介護施設などでは「食」に関わる立場として就職も有利に。昇給や昇格などのチャンスも。
【薬膳コーディネーター】ここで役立つ:飲食店、福祉施設
健康や美容に効果がある薬膳の知識が身につくだけでなく、飲食店で薬膳料理のメニュー開発などにも応用できる。資格は「本草薬膳学院」が認定するが、ユーキャンが講座を運営。在宅でも取得可能で、主婦の人気が高い。
【食育実践プランナー】ここで役立つ:飲食店、食品メーカー
「日本味育協会」認定の資格で、食育に関する知識、調理の実践力や指導力を示すもの。食育教室や講演会などでの活動、食品メーカーでの商品開発や飲食店でのメニュー作成などキャリアアップも可能に。
【終活アドバイザー】ここで役立つ:介護施設、高齢者施設
葬儀、お墓、遺産相続、保有資産の管理、医療などに対してアドバイスを行い、総合的なライフプラン設計をサポートする資格。取得後は、シニア向けのセミナーや相談、専門家とつなぐコーディネートなどを行うことも。介護職員、葬祭業関係者、金融業者は取得することで、キャリアアップのチャンスが生まれやすくなる。
【介護予防健康アドバイザー】ここで役立つ:フィットネスクラブ、福祉施設
中高齢者の身体的な特徴や安全管理を学び、適切な運動ができるようにアドバイスできる資格。「NESTA JAPAN」が認定し、3カ月間の受講中ならいつでも受験可。介護予防や健康維持に役立つエクササイズも身につく。
【認知症介助士】ここで役立つ:病院、介護施設
認知症の知識、認知症の人と接したときの心構えやコミュニケーションの取り方など適切な対応方法を身につけることができる資格。病院や介護施設にとどまらず、ホテルや駅、デパート、スーパーなど多くの人と接する職場でも活用できる。講師による講義やディスカッションなどのセミナー後に受験し、1日で取得することも可能。
【介護事務】ここで役立つ:介護施設、医療施設
資格取得で、介護に関する費用の請求手続きやケアマネジャーのサポート業務が可能に。体力を求められないため、長く安定して働くことができるのが魅力。正社員やパートタイム、派遣など、働き方のバリエーションも多彩。
【レクリエーション介護士】ここで役立つ:介護施設、福祉施設
フラワーアレンジメント、料理、編み物など趣味や特技を活かして、高齢者にレクリエーションを提供できるスキルが身につく。介護業界に興味ある人や、すでに介護資格を持っている人の“プラスアルファ資格”として人気が高い。
50代女性を活かす資格について、キャリアコンサルタントの松本すみ子さんはこう語る。
「気をつけてほしいのが、資格を取ったことで満足しないことです。資格を活かしてボランティアをするのもいいでしょうが、お金を稼ぐことで、ステップアップできます。資格名を入れた名刺を作って“営業”することも大切。弁護士でさえ、待っているだけではお客さんは来ません」
松本さんは49歳のときに「シニアライフアドバイザー」の資格を取得。それを活かして起業し、大学や研究機関、自治体での講座を受け持っている。
「50代女性には、若い女性には太刀打ちできない経験と実績があります。さらには細かい気遣いや、ささいなことでも気づけるようなホスピタリティも備わっています。そんな50代女性をより輝かせるのが資格です」
あなたの人生経験が、家計と社会を助ける「資格」に形を変えるかもしれないのだ。