「いまの時代は常にフットワークを軽くしておくことが大事です。マイホームを持つことに幸福度が増すという根拠はなく、いまやリスクとなる可能性は高いでしょう。若いころは通勤圏や子どもの学校の近く、子育てを終えてからは、親の介護をするため病院のそばに引っ越しをするというように、どんな状況になっても柔軟に動けるようにしておくことが大切です」
そう話すのは、多くのベストセラーを持つ経済小説家の橘玲さん。安倍政権の経済政策「アベノミクス」が行き詰まっている。円安による食料品などの高騰や、消費税以外にも負担増が相次ぎ庶民の生活は厳しさを増している。将来に備え自分の身は自分で守るしかない。そこで橘さんが、年金減や負担増など、アベノミクスの抱えるリスクへの対策を指南してくれた。
まずは、多くの人の人生設計に大きな影響を与える持ち家についてもバッサリ。冒頭のとおり“家族の夢”だったマイホームは合理的に考えると、大きなリスクにつながると指摘する。
さらに、不安の時代を生き抜く最強の方法として、生涯現役であることを挙げた。一家の大黒柱だけに家計を依存し続けることが最大のリスクになるという。
「女性も高齢者も、生涯働き続けること。これからは“生涯共働き夫婦世帯”が、もっとも盤石な家庭です。最近、メディアなどで、『退職後は5千万円ほどの蓄えが必要』などという試算もありますが、生涯リタイアしないのであればこの資金繰りは不要となります」
超高齢化を見据えたライフスタイルについても、橘さんは次のように提案する。
「こうして生涯現役を続けるためには、若いころから不摂生を控え、生活習慣病を回避し、健康で生き抜くことが大前提です。病気をしない自信があり蓄えもあるのなら、保険加入も不要となります」
合理的な思考で人生を最適設計していけば、どんな未来も怖くはなくなるはず。