「横浜のマンションの傾斜問題で、マンションへの不信感が広がっています。そんななか、『マンションの欠陥は10年以内に症状がでる。10年たっても、外壁にひび割れなどがない中古マンションなら安心』という声も聞かれます。中古マンションを買って間取りなどの改修を施すリノベーション人気と相まって、今、中古マンションに注目が集まっています」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。中古マンションには調べておいたほうがいいポイントが山盛り。そこで、中古マンションを選ぶときに注意すべき点を荻原さんが解説してくれた。
「まずは、耐震構造の確認です。現在の耐震基準は’81年に採用されました。ですから、’81年以降のマンションはおおむね安心といえます。それ以前のマンションも、耐震補強の工事を行えばいいのですが、費用などの問題があり、あまり進んでいません。’81年以前に建てられ、耐震補強されていないマンションは避けるべきでしょう」
築浅なら安心かといえば、そうともいえない。最近は、工期の短縮化が問題になっているからだ。
「マンション建設の際、開発を行うデベロッパーは土地を買います。その資金を1日でも早く回収しようと施工を急がせたことが、先の杭打ち問題の一因といわれています。マンションの工期には、目安があります。準備と基礎工事に3カ月、躯体工事は1階ごとに1カ月かかり10階建てなら10カ月、さらに仕上げと環境準備に3カ月です。これより極端に短いものは、手抜き工事の可能性もあります。不動産屋さんにご確認を」
中古マンションの大きなメリットは価格の安さだが、東京23区では15カ月連続で値上がりするなど、都市部の価格上昇が続いている(不動産調査の東京カンテイによる)。
「これは東京オリンピックに向けた動きで、オリンピックが終われば価格は下がると予想されています。また、今、空き家の急増が問題になっていますが、近い将来、かかってくる税金が上がって、中古や賃貸の物件として市場に出回るでしょう。そうなると供給量が増え、価格は下がってくるはずです。中古マンションを、あせって買う必要はありません。購入したい方は、安全性を見極める目を養うことから始めましょう」