「人生経験を積み重ね、さらに老後のライフプランも考え始める40代後半は、実はお金が貯められる体質になれる絶好の機会。その成功のコツは、ダイエットと共通しています。“貯金しやすい体質”と“太りにくい体質”を同時に手に入れるチャンスです」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さん。がんばって節約しているつもりなのに、まったくお金が貯まらない――。そんな悩みに応えてくれるのが、人気コミック『うさぎは正義』の著者・井口病院さんがイラストと解説マンガを担当した『毒舌うさぎ先生のがんばらない貯金レッスン』(日本文芸社)。監修をつとめている花輪さんがこう続ける。
「私が3年前から住んでいるシンガポールは、資産110億円以上の“超富裕層世帯”の割合が世界第2位の国。そんな超リッチな人たちのふだんの生活は、外出するときに飲み物を持参したり、水やコーヒーが無料で飲める銀行のラウンジを利用したり、徹底してムダなお金を使いません。一方で、資産価値のあるものや教育費には糸目を付けない。このお金の使い方のメリハリが、実はダイエットにも応用できるのです」
収入よりも支出が多くなるとお金は貯まらない。摂取したカロリーよりも消費するカロリーが少なければ体重が減らない--。その仕組みはわかっていても、どちらも目標を達成するのは簡単ではない。そこで、ムリなく、ムダなく貯金&ダイエットできる体質になる秘訣を花輪さんに解説してもらった。
「目の前にまとまったお金があると、人は気が大きくなって使ってしまうもの。給与振込口座とは別の貯金用口座を用意して、貯める金額を移すことをオススメします。1,000万円以上の貯金がある人は、必ず別口座を1つ以上持っていて、しかもキャッシュカードを作らないようにするなど、簡単にお金を引き出せないように手を打っているのです。とにかく、積み立てをした後の“残りのお金”でやりくりする癖をつけてください。その際、夫婦で財布を1つにして、管理役と監視役を決めると目標達成の可能性がアップ。毎月変化する家計について、誰かと自由に話し合える環境は、貯金を継続するうえで大きな励みとなるでしょう」(花輪さん・以下同)
ムダ遣いを減らそうと、あまりに意気込みすぎてしまうのも失敗のもと。
「支出を減らそうと娯楽費や教養費を削る人がいますが、娯楽や教養の費用の節約は、ストレスがたまりやすく“貯金ライフ”が長続きしません。ときには思い切り“好きなモノを買う”などご褒美を! ある程度の楽しみは確保したほうがいいのです。さらに“欲しいもの”“やりたいこと”を文字にして書き起こすのもコツ。短期目標として“すぐに買えそうなもの”と長期目標である“金額が大きくてすぐに買えないもの”に分けて、優先順位を付ける。また目に付きやすいところに貼っておくと、モチベーションも上がります」
ダイエットも苦しみだけでは長く続かない。
「シンガポールの富裕層で流行しているのが、糖質を減らして、タンパク質を取る“糖質オフダイエット”。お金だけでなく食事も“必要とムダ”のメリハリをつけているのです。また、トレーニングもエスカレーターを使わず階段で移動するなど、日常生活の中に取り入れた“ムダのない運動”が好まれます」
昨年、ダイエットに挑戦して、1カ月で3キロも減量に成功したという花輪さんが語るからこそ、説得力がある。
「豊かな老後は、貯金があるかどうかで変わってきます。太りすぎでは病気のリスクも上がります。そんな不安解消を目標にするのも効果的。お金が貯まる仕組みを身につけることで、リバウンドのない貯蓄体質と痩せ体質を手に入れることができるのです」