9月14日、15頭の父でありパンダ界のビッグダディと言われる永明(えいめい)が27歳の誕生日を迎えた。氷でできたバースデーケーキの上に飾られたリンゴを取ってパクリと食べる姿は、子供のように愛らしい。
しかし永明は、人間でいうとなんと約80歳。飼育下で自然交配して繁殖しているジャイアントパンダとしては世界最高齢になる。子供の数は15頭。そのうち11頭は中国に旅立ち、4頭が和歌山のアドベンチャーワールドにいる。孫たちは21頭いて、中国以外にもカナダやデンマークなどで生活しているという。
永明がアドベンチャーワールドに来園したのは1994年、2歳を迎える少し前。蓉浜(ようひん)という雌のジャイアントパンダと一緒だった。だが残念ながら、蓉浜との繁殖は叶わなかった。その後、新たなお嫁さんとして2000年に梅梅(めいめい)が来園。永明との間に6頭の子をもうけた。
永明はその後、3頭目の奥さん・良浜(らうひん)を迎える。実は良浜は、前妻・梅梅が中国で別の雄との間に生まれた雌のパンダ。そう、永明は、前妻の娘である良浜との間で9頭の繁殖に成功しているのだ。
「世界一のパンダファミリー」(講談社刊)の著書で知られるパンダ愛好家の神戸万知さんは「永明がすごいのは、繁殖能力と雌パンダの扱い方です。繁殖の成功率が高い理由には、梅梅や、良浜の優秀さもありますが、なにより永明が、常に雌パンダに優しく接して、相手が受け入れOKになるまで辛抱強く待てる性格だったことが大きい。パンダ界でも優しい男がモテるんですよね」
さらに9月14日は、神戸さんの誕生日でもあるという。
「同じ誕生日の著名人に矢沢永吉さん、赤塚不二夫さん、中村獅童さん、上戸彩さん…といったスターもいらっしゃいますが私としては永明と一緒にお誕生日を迎えられるのがとても嬉しいです。13年に優浜(ゆうひん・永明と良浜の第五子)の名付け親になったときに初めて会って以来、永明さんのクールでダンディな魅力にハマり、今ではすっかりメロメロです(笑)。どうかこれからもずっと元気でいて幸せに暮らしてほしいです」(神戸さん)
今後も永明の体調管理が順調にいけば、来年あたりに繁殖の可能性も考えられるという。永明パパには、健康でもっともっと長生きし、その愛らしい姿で私たちを楽しませてほしい。