4月1日、布製のマスクを、“1住所あたり2枚”ずつ配布することを発表した安倍晋三首相(65)。対象となるのは約5,000万世帯、マスクの枚数は1億枚にのぼるという。新型コロナウイルスによって収入を失った労働者のために、欧米各国が現金給付などを含む巨額の財政政策を次々と打ち出しており、日本政府も現金給付などの施策を行うべきだという声が高まっている。
そんななか、“お金”ではなく、“マスク”を配るという政府の発表に、SNS上では戸惑いと怒りの声が広がっている。これは有名人といえども、例外ではないようだ。
芥川賞作家の平野啓一郎氏はマスク配布を伝えるニュースのリツイートと共に、《本当にこの政府で、この未曾有の危機を乗り越えられますか?》とストレートに政府の対策を批判した。タレントのいとうせいこうは《布マスク二枚は安倍政治の集大成になるかもしれないな》とチクリ。
格闘家の高田延彦氏はツイッターでこんな呆れ声。
《大風呂敷拡げてマスク2枚? 本当? まさかのエイプリルフールジョークじゃないよね? ゼロよりマシだけど2枚ってさ!》
批判は、安倍政権を支えてきた“保守層”からもあがっている。
《一つの家庭に2枚の布マスク?なんやねん、それ。大臣が勢揃いして決めたのがそれかい! アホの集まりか》
ツイッターでそんな怒りを表明したのは作家の百田尚樹氏だ。その直後には《これ、エイプリルフールのつもりか。もしかして全閣僚が集まって考えついたウソか?》とツイート。2月28日に安倍首相と会食をするなど、首相と近しい関係として知られる百田氏だが、この政策には怒りを隠せないようだ。
自由民主党内からも、批判の声があがった。国民に対する「現金の一律給付」を求めている党内の若手議員の1人、小野田紀美参議院議員はマスク配布のニュースが報じられた直後に、地元岡山弁をまじえてこうツイートした。
《なんで今回自民議員の必死の訴えは全然聞き入れんのにこーゆー事急に決めてするん。それ出来るんなら小切手送りゃーえーがん。何なん。与党議員って何なん》
さらに、自民党の後藤田正純衆院議員は自身のFacebookで、マスクの配布が東京都から開始されるというニュースと共にこう書いた。
《いやいや、まずは、医療従事者、保育従事者に優先して配分すべき 首相と都知事は何話してんねん! 東京都は、自粛、stay home家にいて! と言いながら、切迫した医療現場でなく、何故マスクを全戸に??? 家にいたら、マスクいらんやろ??》
一方、マスク配布を擁護する声もあった。政治評論家の三浦瑠麗氏は《布マスクうちはありがたいですよ。自分でマスクを縫う暇はないし、子供にさせたくても市中にはないもんね》としたうえで、《引き続き他の経済対策も頑張って下さいでいいんじゃないの》とツイート。
まったく異次元なツイートをしたのは発明家のドクター・中松氏だ。新発明品である顔すっぽり覆う透明マスク「スーパーメン」を被っている自分の写真とともに《布マスク2枚ですか? スーパーメンなら1枚でOKですが》とつづった。
ちなみに、布マスクは織り目のサイズが大きいのでウイルスを防ぐ効果が低く、洗って使うので衛生面にも不安があるといわれている。WHO(世界保健機関)は、布マスクの使用を、どんな状況でも推奨していない。