コロナ騒動により長引く休校で、にわかに検討され始めた「9月入学」。休校による学習の遅れを取り戻すため、14日に行われた会見で安倍晋三首相も「9月入学も有力な選択肢の1つだろうと思いますが、前広に検討していきたい」と語った。そもそも、9月入学って何? どんなメリットや問題があるの? 専門家に聞いてみた。
「9月入学の導入は教育界だけの問題ではない。政治や経済、法律、などと連動して社会構造そのものを変容させることが大事。社会構造が変われば多様性が生まれ、ビジネスチャンスも増え、結果的に子どもたちがメリットを受けます」
そう語るのは、’06年に第一次安倍内閣が設置した教育再生会議の有識者委員も務めた、教育ジャーナリストの品川裕香さん。子どもの発達や欧米の教育制度に詳しい品川さんはこう続ける。
「就学年齢や学年自体を、個々の子どもに合わせて弾力的に運用をしている国が多々ある。最近の子どもの発達の多様性を踏まえれば、日本も就学開始年齢は4歳から7歳と弾力があってもいいし、飛び級制度ももっと普及していい。大事なことは必要な力を身に着けて社会に出ること。多様性を実質的認めず、形だけ9月入学を導入しても子どものメリットにはつながりづらい」(品川さん)
その場しのぎの9月入学への移行では子どもの負担や混乱を増やすだけ。慎重にかつ迅速に、子どもにとってもっともいい結論を出すことが求められている。
「女性自身」2020年6月2日号 掲載
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