前出の舘田理事長も言う。
「前回の緊急事態宣言のときに8割減と言っていたのは『人流×濃厚接触を8割減にする』こと。人流とは人の動きで、濃厚接触とは、マスクなしで1m以内で15分以上会話すること。そういう環境が感染を広げるわけです。移動そのものが悪いわけではないし、リスクを理解して注意がきちんとできていればいいんです。メリハリをつけた安全対策をとれるよう生活を変えなければいけないと思います」
目下、感染増加が飛びぬけている東京に焦点を絞ると、感染拡大防止策の“タイミングの悪さ”を挙げるのは、西武学園医学技術専門学校・東京校の中原英臣校長だ。
「結論から言うと、数字を見てわかるように、東京のコロナ対策は失敗しているわけですよ。東京、そして都民にとって不幸なことが2つあって、1つ目はこの年に五輪があったこと。五輪をやることを優先したあまり、対策が遅れた。2つ目は、この時期に東京都知事選挙があること。
緊急事態宣言でみんなマスクして収まりかけたと思ったら、今度は選挙だということで、小池都知事は東京アラートを引っ込めて、自粛を全解除してしまった。とにかく、選挙が終わったら、もう一度しっかりコロナ対策をやってほしいですね。それをやらないと、すぐ首都圏全体に影響が出る可能性があります」
そして、政府の対応の遅さに憤るのは、NPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長だ。
「検査数だけでなく、ウイルスのタイプの確認も含めて、日本は対応が遅いんです。検査を推し進めていかないと。今後は日本でも強毒性に変異しているウイルスが蔓延してしまう危険性があります」
首都の感染拡大を機に、強毒化した新型コロナウイルスが、日本中に蔓延するリスクさえあるというのだ――。これ以上、状況を悪化させないために政府はどんな対策をとるべきなのか。