「窓のない店は、どうしても換気が悪くなります。カラオケのある喫茶店やスポーツ観戦するバーなどもそうですが、防音がしっかりしている店は密閉空間ということ。ガラス張りであっても、開かない仕様になっていることも多いので、見通しがよい=換気がよい、と勘違いしないようにしてください。
また、約200軒の飲食店が密集する東京都品川区でのクラスター例のように、小さな居酒屋や雑居ビルにあるバーなども窓がないことが多いです。しかし、ドアを全開にしていれば、かなり改善されるでしょう。さらによいのは、ドア全開で卓上のものでもいいので、サーキュレーター(空気循環器)を出口側に向けて回すこと。クラスターはかなり起きにくくなると思います」
“大声を出しがちな店”も、警戒が必要という。東京都では20人以上でスポーツ観戦をしていた居酒屋で、客と従業員計7人が集団感染した事例が起きている。
「人との距離が2m開いていればいいというのは普通の声で話す場合。たとえばスポーツバーでモニターを見上げ、大声を出して応援すれば、2m離れていても飛沫が拡散し感染リスクが高まります」
ラーメン店やバーによくあるカウンター席にも危険が潜むという。
「カウンターから料理を直接提供するため、仕切りを設置できず、それゆえ、どうしても客と対面してしまい感染リスクが高まります。カウンターがある店を利用する場合は、テーブル席も併設されていればカウンターよりテーブル席を利用するほうがいいでしょう」
栃木のラーメン居酒屋では、男女の従業員6人が集団感染しているが、客に感染者は出ていない。このケースでは厨房に原因があったのではと筋野院長は推測する。
「これはおそらく厨房が狭くて密になっているのではないでしょうか。狭さのせいで厨房に熱気がこもり、暑さで息苦しくマスクから鼻だけ出すこともあると思います。暑い調理場には、感染リスクが高まる要因が重なっているんです」
「女性自身」2020年8月18・25日合併号 掲載