電通が関係しているとの憶測が流れ炎上した。 画像を見る

1年前の今日、’19年12月12日は『100日後に死ぬワニ』の第一話が投稿された日だ。今年3月、日本中の注目を集めたワニは、2020年を語るうえでは外せないはずだが、耳にする機会は激減。一体何があったのか、振り返っておこう。

 

■そもそも『100日後に死ぬワニ』とは何か

 

『100日後に死ぬワニ』は、コマの上部に「死まであと○日」と記されたワニの100日間を描いたきくちゆうきのマンガ作品。きくちゆうきのTwitterアカウント上では、’19年12月12日から‘20年3月20日まで、毎日一話ずつワニの日常が投稿された。当初1万人だったきくちゆうきのフォロワー数は、投稿最終日の3月20日には200万人を超え、複数の本作品に関連するワードがTwitterのトレンド入り。「ワニくん」は世界トレンド1位となった。

 

■“ワニくん”より目立った“電通案件”

 

ワニが死ぬ最終話が投稿された直後、『100日後に死ぬワニ』公式Twitterアカウントが開設された。そこで多種多様なグッズ展開、書籍化、映画化などの告知が行われたことに対し、ワニの死を悼む読者から「ワニの死でお金儲けをしている」との非難が殺到。

 

さらに、公式アカウント運用会社の取引先に電通東日本、いきものがかりとのコラボムービーのクレジットに電通と電通PRの社員がいたことから「このワニムーブメントには電通が関わっているのではないか」との憶測が広まり、Twitterでは「電通案件」がトレンド入りする事態に。

 

「SNS上で自然発生的に生まれたムーブメントであることに魅力を感じでいた読者が多い中、企業によって仕組まれていたという事実に落胆を感じた人がいたのは事実。しかし、その結果物語よりも、“電通案件”であることや“この盛り上がりが仕込みだったのではないか”という点に注目が集まり、本来の主役であるはずのワニの姿がかすむことに」(ITジャーナリスト)

 

ほとんどん関係のない“電通”のほうが、ワニの物語よりも世論の興味を引くことになったのだ。

 

「実際に“電通案件”だったのかという点について、電通の広報部は、J-CASTニュースの取材に対し『いきものがかりのコラボムービーに限り、仕事として一部のプロジェクトに関与した』とコメントを発表しています」(前出・ITジャーナリスト)

 

■123日後に燃え尽きたワニ

 

炎上以後“電通”の陰に隠れ、4月以降はめっきりと話題にのぼる機会が減ってしまったワニ。地域ごとに、検索されたキーワードの数を調べることができる「グーグルトレンド」によると、ピークを迎えた3月15日~21日の「100日後に死ぬワニ」の検索数を100とすると、約1カ月後の4月12日(連載開始から123日後)~4月18日の検索数は50分の1となっている。

 

それでも関係者内での“ワニ”ムーブメントは続いていた。4月1日には『100日後に死ぬワニ』カフェ池袋会場がオープンするも、コロナの影響により4月4日以降の開催が延期に。休業報告の後、現在に至るまで公式サイト・ツイッター共に更新はない。4月8日の書籍販売に次ぎ、6月19日には絵本版『100にちごに しぬ ワニ』が発売された。こちらは3巻構成のうちの第1弾。残りの巻は発売段階では秋以降の発売が予定されていたが、現状でも未発売のままだ。同月中旬には繊維専門商社とコラボしたクラウドファンディングもスタート。目標金額200,000円に対し、支援が終了した8月14日時点で集まった金額は156,500円。目標金額には満たなかった。

 

商業展開といえば、ワニが死んだ日に告知された映画化が残されたまま。本作品のプロモーションなどを手掛ける株式会社ベイシカに公開日について問い合わせたところ、明確な回答は得られなかった。

 

現在もTwitterの『100日後に死ぬワニ』公式アカウントには10万2700人のフォロワーがおり、中国語版の発売、重版報告のツイートには1000件近い“いいね”がついている。ピークは過ぎたとはいえ、今も根強いファンがいることは間違いなさそうだ。

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