山本氏は自尊心にまつわる、ある実験について話してくれた。
「謝ると自尊心が傷つくけれど、謝らないことで自尊心が満たされるという実験があります。謝ることで自分の価値が下がったように感じてしまう。いっぽうで『世に屈しないぞ!』と謝らないのならば、『自分は立場が強い、または価値が高い』と感じることができるのです」
謝らないことで、地位や自尊心が保てる。これでは、謝らないほうが“自分のため”では?そう投げかけると、山本氏はこう応える。
「言い訳をせずに謝るほうが、好感度が高まるという実験があります。たとえ骨折をしていても『骨が折れてるから手伝えない』というよりは、ひとまず『ごめん』と謝ってから『折れてるから手伝えないんだ』と返すほうがいい印象を与えられるというものです。
また、素直に謝らない人は“謝ったら負け”と考えているのではないでしょうか。しかし、どこに勝ち負けを置くかを考え直すのも大事なことです。決して、批判に屈しないことだけが勝ちとは限りません」
山本氏は素直に謝らない人たちについて、周囲が見守るのも大切だと話す。
「『謝れ!』と強制されると、逆に謝らなくなってしまいます。勉強しろと言われてしないのと同じですね。
一つの選択肢を押し付けるのではなく、対応や返答の選択肢を与えることも大事ではないでしょうか。たとえば『わたしはこう思うんだけど、どう思う?』『どうしてそんな言動をしたの?』と考えを促すのも大切と言えるでしょう」
関連カテゴリー: