■寄付をお願いしてもたったの100円…
創業当時の評判はけっして悪くはなかったのだが、バブル期にスギ薬局グループが成長を遂げていくなかで、批判的な声も増えていったようだ。
「とにかく気前はよくなかったです。お祭りだからと寄付をお願いしても、たった100円とか。だからお金持ちになったのでしょうけど……。
(広一氏の)母の代から住んでいる市内の一軒家に住民票を置いているようですが、ずいぶん前から別の場所で生活しているそうで、いまではまったく近所づきあいもなくなりました。
小さなお店1軒から、あれだけのチェーンを築いたのですから、それは自信もつくでしょう。特に奥さんのほうがやり手という印象で、講演をしたり、地域の催しに出たりと、どんどん人前にも出るようになったんです」(西尾市内に住む杉浦夫妻の知人)
昭子相談役は、「公益財団法人 杉浦記念財団」の理事長も務めているが、その設立時について雑誌のインタビューでこんなエピソードを明かしている。
《著名なO先生(※インタビューでは実名)に直接電話をして、財団を作りたいので、お会いしてお話を伺いたいとアポをとったの。今でも(※先生が)紹介してくださる方に挨拶代わりに言われるのは、『ある日突然、杉浦理事長と事務局長がやってきてね』と。直接のアポが余程あきれられたのでしょうね》
前出の地元紙記者はこう語る。
「インタビューで昭子相談役は、面白いエピソードとして披露したつもりなのでしょうが、“剛腕”か“自分勝手”かは相手の受け止め方次第です。
『自分たちが直接電話をして頼めば、多少の無理は通るだろう』という考え方は、今回のワクチン便宜問題にも通じるところがあると思います。
また昭子相談役は一昨年に自叙伝『一人のために、地域とともに』を執筆しています。あくまでも女性の視点にこだわるなど、成功の秘訣についてもつづっており、スギHDを通じて頒布しましたが、これも創業者だからこそ許されたのだと思います」
創業当時からの方針は“目の前のただ一人のお客さまを大事にする”だという。この方針を忘れなければ、“上級国民批判”もされなかったのではないだろうか。
「女性自身」2021年6月1日号 掲載